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忌み子、のんびりパワフル世界救済(1000年ぶり2回目)  作者: 憩葱助
第一章:アルボスティアの少年少女
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1-65 ティラノの森 野営1

◆前回のあらすじ


魔物の掃討がさっさと片付いたので、そのまま森の中で野営の準備を始めることに。

 「ぐっすり気持ちよく寝られる寝床、ですか……」

 

 聞いたリーナは苦笑する。

 

 一行は私の答えが腑に落ちなかったようだが、冒険において睡眠は何をおいても優先すべきことの一つだと私は考える。

 冒険は常にあらゆる危険と隣り合わせにある。そんな冒険を安全かつ効率的に進めるにはそのための体力と集中力が必要だ。いくら屈強な者であっても体力にも集中力にも限界があり、歩み続ける内はそれを擦り減らす一方だ。

 だが眠れば体力も集中力も回復する。また、何か心に(もや)を抱えていても眠ることでスッキリ晴れることがある。逆に睡眠をおろそかにすれば反比例的に通常時に増して体力を消耗するし、集中力は続かなくなる。

 だから睡眠を摂ることが最も重要であり、睡眠をより万全に取れる拠点とすべく野営について考えなければいけないのだ。

 

 「眠らないとやってられないよ?」

 

 「それはそうですけど……」


 ウルハとカイルはそれができれば苦労しないとでも言いたげな顔をするが

 

 「それができるようにならなきゃいけないんだよ」

 

 できないからと諦める。まぁ場合によってはそれが正解のときもあるかもしれない。

 しかし冒険においてはあらゆることができればそれに越したことはなく、睡眠はその最たるものだ。であればできるようになればいい。

 

 「睡眠を万全に摂るにはどうすればいいと思う?」

 

 一行は再び考え始める。

 

 「頑強な拠点」

 

 エドが真っ先に答える。

 まぁ頑強な拠点を築けば安泰ではあるかもしれないが、それを作れるのか、作るのに要する素材と能力は、作った後はどうするのか、課題が多い手段ではある。

 

 「敵に見つからないような……」

 

 「敵に見つからないにはどうすればいいと思う?」

 

 次いで答えたウルハに重ねて問う。

 

 「……結界魔法とか」

 

 「正解!」

 

 わざわざ頑強な拠点を築かなくても、簡素な拠点も丸ごと結界で隠してしまえば、地盤ごとひっくり返されるようなことでもない限りある程度の安全性は確保できる。

 

 「……頑張ります 教えてください」

 

 数日前のウルハであれば「私結界魔法なんて使えませんよ~」などと愚痴を吐いただろうが、そう思っていたことをアレコレ習得しているうちに学びに前向きに貪欲にと考え方がシフトしてきたようだ。

 

 「結界魔法は質に拘らなければ様式通りに組めばちゃんと発動するから、そんなに気張らなくてもいいよ」

 

 「そうなんですか……」

 

 聞くなり、ウルハは早速『指南書』を取り出し、結界魔法の組み方について書かれた頁を読み始める。

 

 「はい、結界で外敵からの安全が確保できたら、次は?」

 

 「……気持ちよく眠れる寝床」


 今度はエドが答える。

 

 「気持ちいい寝床の条件は?」

 

 「……柔らかい床」

 

 間違いなく必須だ。

 

 「天井もあった方がいいんじゃないか?」とカイルが答える。

 

 天井もあるといい。森ではうっかり頭上から何か降ってくることも有り得るし、秘匿結界(ハイド・ボーダー)では認知を妨げる魔法であって雨風までは凌げない。

 

 「気温気候に対応できるような……」

 

 「お、リーナはさすがいいとこ点くねぇ」

 

 要は快適に眠れる空間をその場に築けばいいのだが、その具体的な手段となると一行は想定もしていなかっただろうから難しいかもしれない。


 「まぁ要は、ゴブリンのコロニーでやったアレの小規模なものを作ればいいんだけど」

 

 傍に聞いていたウルハが「マジですか……」と漏らす。

 

 「それだとウルハの負担が大きすぎる」

 

 「何でウルハだけが負担すると思ってるの? 皆の魔力を併せて……まぁ配分は必要に応じて決めればいいけど、魔法が使えないからって力になれないことはないよ 皆で組み立てればいい」

 

 「えーっと……これですか?」 

 

 ウルハは『指南書』を皆に見えるように広げると、そこには『小規模パーティー向け 簡易野営拠点の造り方』と書かれている。

 

 「まずはやるだけやってみて、できないだろうな~って思い込みを払拭しちゃえばいいよ」

 

 「やっぱりあんたら脳筋だよ……」

 

 カイルはボソッと漏らした。

次回分は明日更新予定です。

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