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忌み子、のんびりパワフル世界救済(1000年ぶり2回目)  作者: 憩葱助
第一章:アルボスティアの少年少女
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1-62 ティラノの森 掃討戦2

◆前回のあらすじ


一行は順調に魔物を屠り始めたが、半分にも満たないところでバテてしまい一旦中断に

 「魔物を倒せたっていう感動は……もうとっくに薄れちゃったかもしれないけど 皆はまだちょっと“倒す”ことに意識が向きすぎだね」

 

 まぁそうは言っても、倒さなければ殺される相手なのだから倒すのは最優先事項ではあるが。

 

 一行は結界の中で一時息を整えてはいるが、結界のラインまで迫っている魔物の大群には内側まで襲ってこないと分かってはいようがその疲れきった顔をさらに青ざめさせている。

 

 「っんと……どんだけいるんだよ……!」

 

 「こんなの……捌ききれるワケないですよ……」

 

 「捌ききれないだろうなと思っているうちはできるものもできませんよ」

 

 ベルは一行に“鎮撫(カーム)”をかけながら話しかける。

 

 「そもそもこの訓練は倒すこと自体が本分ではありませんよ」

 

 その一言に一行は眉を顰める。

 

 「どういうことですか……?」

 

 「魔物の倒し方は最初に学んだでしょう そんな()()()()()にいちいち時間をかけられませんし、そもそもそれだけならわざわざこんな森の中で大量の魔物を相手取る必要などないんですよ」

 

 「そうだよなぁ」とでも言いたげな顔で一行はベルを見ている。

 

 「この訓練はいかに()()()()()()()()()()()か……しかし小出力であってもあなたたちまた未熟ですから、遅かれ早かれ力尽きるでしょう だから()()()なんですよ」

 

 リーナがハッとしたように顔を上げる。

 

 「つまり、森の自然魔力(マナ)を使う訓練ということですか」


 「正確には、自然魔力(マナ)を掌握することで環境的不利を覆しつつ魔力切れを起こさないこと だね」

 

 一行は息を整えながら納得したような顔をする。

 

 「戦闘は奥が深い……」

 

 エドはしみじみと言う。


 それはそうだ。戦闘とは命のやり取りなんだから。

 使えるものは何でも使い、できることは何でもする。そうすることで自分の命を守らなければいけないし、自分の成すべきことを成さなければならない。


 「なりふり構うなってことだよ ……“森の恵み(ハウメア・ヒール)”」

 

 通常治癒魔法には光の魔力を用いることが多いが、今私たちは木々が遮り光の届きにくい森の中にいる。だがそれは逆に森の中には木々の発する豊潤な森の自然魔力(マナ)が満ちているということだ。

 さらに森の自然魔力(マナ)は“実”の属性魔力(エナジー)と同様の()()を持つ。今この場で学ぶ拙い彼らにはもってこいだ。

 

 森を充満していた自然魔力(マナ)で消耗しきった一行の身体を包み込むと、枯渇寸前だった一行の魔力に馴染むようにその身体を満たしていく。

 

 「はぁ……生き返った……!」

 

 ウルハは思いっきり伸びをする。


 「森の自然魔力(マナ)を取り込む感覚、分かったかな?」

 

 「何だか身体の活力がみなぎってくるような……」

 

 森の自然魔力(マナ)や実の属性魔力(エナジー)は木々の成長や森で循環する命の火花によって生じる。それらは他の個性の強い魔力とは違い順応しやすく進展しやすいという有り難い恩恵を持つ。

 そんな魔力を用いる治癒魔法“森の恵み(ハウメア・ヒール)”は、疲れきった身体をより自然な形で満たし、その()に近い状態から新たな実りを(もたら)す……まぁ何を見出すのかは各個人によるという運試しな一面もあるのだが。


 「自然魔力(マナ)は際限なくあるけど、そこに甘えず小出力での効果的な攻撃魔法の習得の方も頑張ってね」

 

 と、主旨を改めて説明したところで結界魔法を解く。

 

 「“光斬(ホーリー・スラッシュ)”」


 円環状に麻紐ほどの太さの光の魔力を展開させ、それを薄く広げるように周囲に放つ。光の環は結界によって付近に留まっていた魔物たちの胴を綺麗に一刀両断し、一定距離の魔物全てを霧散させた。

 

 「魔法は使い方だよ さぁ第二ピリオド行こっか」

 

 リーナがコクコクと頷く一方で、カイルは「何で剣も無いのに斬撃が出るんだよ……」などとぶつくさくどいていた。

次回分は明日更新予定です。


◆お知らせ

並行して更新していたR-18バトルアクション百合は序段が終わったので、次回分からは週1回日曜日0時頃更新となります。

本作が日曜休載なので私の作品は一応毎日更新されるような格好になります。そちらも箸休めのような気持ちでお読み頂ければ幸いです。

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