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忌み子、のんびりパワフル世界救済(1000年ぶり2回目)  作者: 憩葱助
第一章:アルボスティアの少年少女
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1-57 ティラノの森 掃討訓練3

◆前回のあらすじ


リーナは無事魔物を倒すことができたが

 「“交霊儀”って何ですか?」

 

 「簡単に言うと、精霊を()んで適性を教えてもらうような感じなんだけど……」

 

 正確には交霊儀という魔法があるわけではなく、各種属性を司る精霊を召喚して各個人の魔法特性や魔力の適性を見定める手法だ。別に精霊でなくとも、属性魔力に親しく魔力識別能力が養われた種であれば可能だ。だが敢えて精霊を喚ぶのは精霊と接触することによって受けられ得る恩恵を期待してのこともある。

 

 「運良く精霊とマッチすれば、その精霊を使役したり、自分に宿したりすることで飛躍的に魔力を向上できたりすることもあるんだよね」

 

 「何だよそんな方法があるなら先にやっておいてくれよ」

 

 カイルはぶつくさ言うが

 

 「あなたたちはそうやって簡単に大きな力を手にしたところで使いこなす域に達していませんよ もっとも、精霊に魅入られる素質があるかどうかも疑問ですが」

 

 ベルは相変わらず辛辣だ。


 「まぁどちらにしても、森は自然魔力(マナ)が多すぎて無理だね 私がやるよ」

 

 カイルの胸に手を添え

 

 「“魔力(マギ・エステ)鑑定(ィメイション)”」

 

 カイルの魔力を鑑定する……が、一瞬覗いただけで手はすぐに離してしまった。 

 まぁそうかなと思ってはいたけど、気張ってするほどのことでもなかったな。


 「カイルは“炎”だね」

 

 カイルのように燃えるような激情を持つ者は炎の魔力と親しい傾向がある。彼も例に漏れずそのようだった。


 「お似合いですね」

 

 ベルはくすりと笑う。

 

 「それ褒めてんのか貶してんのかどっちだ?」

 

 ともかく、適性が分かったなら訓練の方向性も定まったようなものだ。

 

 「森の中で炎の魔力を使うときは、周りに引火しないように精密なコントロールが必要で……あ、これはウルハも聞いててね」

 

 「あ、ハイ」

 

 「魔力を掌握して、必ず自分の意思のまま操れる範囲で発現させること 火が木々に燃え移ったら、自分の力じゃ消火が間に合わないかもしれないからね」

 

 「それじゃ攻撃の威力が最大限発揮できないっていうことはないのか?」

 

 エドは疑問を投げかける。

 

 「逆に威力を広く大きくすれば相手にとって効果的とも限らないからね ……ウルハは火球(ファイアボール)で学んだだろうけど」

 

 「……なるほど」

 

 「特に近接戦闘では、一般的な攻撃は大きく薄く展開するより、大きな力を小さく鋭く押し込めて威力を一点に集中させた方が防がれにくく効果的なことが多いしね」

 

 もっとも、大きく強い攻撃手段があればそれで一挙に一掃してしまえる場合もある。だがそのような燃費の悪い闘い方をするよりも散熱線弾(バラ・バーンレイ)のように省エネかつ確実な攻撃展開ができる方がトータルで見て楽なのは明白だ。

 

 「で、炎の魔力を掴んでもらうんだけど……」

 

 ぼちぼち陽も落ちてきていることだし、強硬手段で行こう。

 

 「カイル、ちょっと剣借りていい?」

 

 「? 何するんだ?」

 

 「壊れないようにね…… “術式付与(エンチャント)”」

 

 ただの“鉄の剣”に“不壊”と“不朽”の術式を埋め込む。

 切れ味の加工はしていないのでただ頑丈なだけの剣ではあるが、彼にそのままの状態で持たせていいかどうかは……まぁ今後の様子を見ることにしよう。一先ずの応急処置として。

 

 「漢気(ガッツ)見せてね」

 

 「おい、嫌な予感が……」

 

 「“発火炎癒治(フレアレイズ・ヒール)”」

 

 カイルの足元からちょうどカイルの全身を包む程度の炎が噴出し、カイルの身体を焼いていく。

 

 「だぁちちちちち あち あ あちぃんだよ!!!!」

 

 「ひぃ……」

 

 仲間が目の前で焼かれる様を見て、ウルハは顔を青ざめさせる。

 だがカイルを焼いた炎は、焼いたそばからカイルの身体を治癒していく。自分でやっておいて何だが、拷問そのものだ。

 

 「こんな便利な魔法があるんですね……」

 

 リーナは感心していた。

 

 「今作ったんだけどね」

 

 「ふふ もうアイリ様ったら」

 

 感心した上、仲間が焼かれている傍で談笑する余裕を見せるリーナにエドは冷ややかな視線を送るのだった。

次回分は明日更新予定です。

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