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忌み子、のんびりパワフル世界救済(1000年ぶり2回目)  作者: 憩葱助
第一章:アルボスティアの少年少女
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1-50 竜を喚ぶ1

この4月より、サークルN.Bakeryの漫画作品他のプロットを小説版に書き下ろしたものをなろうに投稿しています。大体百合です。ぜひぜひ読んでみてください。


◆前回のあらすじ


アイリ、何者かに見られた気配を感じたので、心当たりの主に生誕報告

 「“竜王の息吹(ハウメア・ブレス)”」

 

 私がそう唱えたのが耳に入ったのか、一行に獲物の解体を教えていたベルは和やかな表情を一転青ざめさせた。

 

 「アイリ!?」

 

 そんなベルのただならぬ様子に解体に集中していた一行はこちらをみやると、私が操る膨大な魔力の奔流に気付きベルと同じように顔を青ざめさせる。

 

 出力を最低レベルにまで絞っているとはいえ、確かに一行にとっては感知したこともないほどの魔力量かもしれない。だがある程度魔力を込めなければそもそもこの魔法は発動しないし、この魔法を使うのが彼女らに気付いてもらうのに今は(・・)一番手っ取り早い。“竜の加護”を受けそれを使いこなす者、もしくは竜種のみが使える魔法、その中でも今回用いたのはとある“竜王”の加護を受けた場合のみ使用可能な上級のものだ。

 先日のステータスとやらでは“竜王の加護 使用不可”との表記があった。もしかするとまだ私の調子が万全でないせいかもしれないと最初は考えたが、それでも同じように竜王の加護を受け、そのときの私よりステータスの低かったベルの場合は使用不可の表記はなかった。

 であれば、考えられるのは何らかの要因によって私だけが竜王の加護を使用できないというケースだ。例えば私のステータスにあった“竜”という表記。そもそもほとんどの竜種は竜王の莫大な魔力の奔流によって受動的に魔力の肉体を精製し種となったものと云われている。そのような構造から加護に見合った恩恵が顕現しないと考えられ、通常竜王が竜種に対して重ねてその加護を施すことはない。私が竜種になったことで同様に竜王が施す竜の加護が本来の調子で使えなくなった可能性がある。そしてその理屈であれば、この魔法は()()()()()()()だ。

 

 だが予想に反し私の二十メートルほど先には直径一メートルほどの魔方陣が魔力で描かれ、魔力が滝のように注がれていった。

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ


 「おい、あいつ何しようとしてるんだよ!?」

 

 カイルはベルに詰め寄り、ベルの方は一行を覆う防御結界を展開している。


 そして辺り一帯を揺るがす地響きの後、魔法陣を中心に直径十メートルはゆうに超える大樹が現れ、一瞬の内に見上げるのが億劫になるほど高く高く伸びていった。さらに主幹から笠状にいくつもの枝が伸び、伸びては枝分かれし、生き生きとした新緑が茂っていった。その葉は一枚一枚が人族の子どもほどの大きさだ。

 

 「あれ? ……使()()()なぁ」

 

 小規模なものとはいえ、停止条件付きの特殊魔法が普通に発動したということは竜王の加護が使えているはずなのだが……無事使えたはいいが、少し拍子抜けたような気分だ。

 

 一方そんな魔法の結果を見た一行は皆それまで熱心に解体していたボアには目もくれず、目は見開き口はあんぐりと塞がらない様子だ。

 

 「……何をしでかすのかと思いましたよ」

 

 ベルはただ大樹を生やしただけの結果に胸を撫で下ろしている。

 

 「ごめん、暇だったからちょっと生存報告をと思って……」

 

 「にしても急ですよ 先に一言言ってください」

 

 確かに、そんなぱっと思いつきで使う魔法でもないな……


 ともあれ、使えたなら使えたでまぁいい。どうにも本調子でないからか今は彼女らに語りかけることができないが、これで自分の存在を知らせることくらいはできただろう。


………


 ――アイリの現在位置からちょうど星の対角あたりにある世界でも有数の火山帯、その中で最も大きな火山の溶岩道最奥部にて


 灼熱をものともしない魔鉱石に状態異常の魔法が処狭しと付与された鎖で繋がれた少女が項垂れていた頭を上げる。

 

 「……一〇〇〇年つったっけか …………長ぇんだよあのマイペースはよ」

 

 ボソリと呟いた少女に、すかさず見張り役の龍人(ドラゴニュート)が苦痛の精神感応魔法を鏃に付与した槍を突き立てる。


 「ぐっ……!」

 

 槍で突かれたところでどうということはない。元よりアタシの身体は痛みなど感じる由もない。

 だがこの精神を逆撫でするような猪口才な魔法。このアタシにこんな狼藉を働いて、タダで済むと思うなよ……


 少女は槍から流れ込む苦痛を堪えながら、心の奥底で復讐の炎を燃やした。


………


 ――世界で最も広大な海“中央大洋” その中心付近に存在する、人魚が棲むと云われる秘境サンクトゥス諸島の海底にて

 

 少女は闘っていた。彼女の眷属たる人魚族と魚人族を従え、海を荒らし汚す不届きな輩の侵攻を食い止めるために。

 そんな中察知したかつての友の息吹。かつて邪悪を打ち滅ぼそうとした同志が一〇〇〇年の時を経て転生した。この世界の希望が再び……


 すぐにでも同志に伝えなければ……少女は広く世界中の海で戦う仲間たちにその膨大な水を通して念を送る。 


 「皆! アイリが目を覚ました! ここを凌ぎきればあの子が絶対に助けにくる! それまで何とか守りきって!」

 

 少女の鼓舞に、海を荒らす魔物どもと闘う猛者たちの雄叫びが上がる。


 必ず海を、命の源である母なる海を守る。


 アイリ、お願い 早く……

次回分は明日更新予定です。

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