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忌み子、のんびりパワフル世界救済(1000年ぶり2回目)  作者: 憩葱助
第一章:アルボスティアの少年少女
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1-31 西洋域 人里リスリア2

 「今のは魔法陣をお消しになったんですよね」

 

 リーナが尋ねる。


 建物の中に仕込まれていた攪乱(ディスターブ)の魔法陣は全て解体し、淀みの元となっていた邪悪な魔力も全て浄化した。

 

 「その……消してしまって大丈夫だったんでしょうか?」

 

 攪乱は通常の生活では使う機会のないような魔法で、人の心を掻き乱そうとする悪意を以って行使される他ない。しかもそれが“並みの感知能では感知し得ないような”秘匿の細工をされた上で建物全体に仕込まれていたのだから、勘違いやうっかり仕込んだわけではないのは明白だ。そのような悪意の所業を勝手にまっさらに消してしまっては、その黒幕に気取られないかという点をリーナは心配しているのだろう。

 

 「まぁ大丈夫だと思うけど この里にもこの建物にも普通の人族しか居なかったから多分犯人はここには居ないし」

 

 「……ですよね、お見通しですよね さすがです」

 

 「建物の外では何も感じなかったでしょ? 仕込まれていた魔法は外にリンクしていなかったから、探知される心配もない」

 

 魔法の付与や仕込みでは術者や術を媒介する何者かを介して術の状態を把握するために(リンク)を結ぶ細工ができる。罠に用いる魔法では罠の状況確認のためにリンクを張るケースが多いが、どうせ誰も感知しどうこうしようなどと考えないと舐めてかけ捨てた魔法なのだろう。この建物の魔法ではそのようなリンクは結ばれていなかった。

 

 「……」

 

 一行は各々険しく表情を歪めている。

 これから泊まろうという寄宿舎に何者かの悪意が仕込まれていたとなると心も休まらないだろう。


 「“鎮撫(カーム)”」


 先程来何度も使っている精神感応魔法で一行の毛羽立った精神を落ち着ける。

 

 「それで心を乱したら相手の思う壷だよ」

 

 知る由もなくじわじわと心をかき乱されるような細工を施した宿に冒険者を泊めて何がしたいのか、今はまだハッキリとは分からないが、少なくともこれを冒険者が知ったところで嬉しいことのはずがない。

 人族のためにと心底から信じさせられ、年端も行かない子どもながら異種族を狩りに出張らせられる、そんな冒険者すらも欺かれているのだとしたら、その黒幕はこれ以上野放しにしていい存在ではない。

 

 「ここはもう大丈夫 里にも里の周りにも今敵はいない まぁ一応私たちが一晩見張ってるから、皆はしっかり休むように ……ウルハも、指南書読むのは明日にしてね」

 

 「はぁい……」

 

………


 四人が寝静まり深夜、里は申し訳程度の街灯がポツポツと灯っている程度で、ほとんど闇に覆われている。

 結局気が逸って寝付けない様子の四人を催眠魔法で寝かしつけ、私は寄宿舎の屋根でベルと語らっていた。

 

 「まぁあんな感じで、現代の人族の冒険者の大概は高が知れています」

 

 「大概ってことは、例外もいるんだ?」

 

 「先にお話した通り、魔人と……魔人と言っても大概は目も当てられないような雑魚ばかりですが、一部の魔人と王宮騎士はさすがに手練れでしたね」

 

 「てこずった?」

 

 言うと、周囲の空気が刺さるような冷気を纏う。ベルの魔力が纏う魔力特性だ。

 

 「馬鹿な 所詮は人族ですから本気出せば瞬殺ですよ」

 

 「まぁ、問題は黒幕だね」

 

 まだ状況を把握するには情報の量も質も心許ないが、魔物、そして人族社会に紛れ込んでいる魔人たちを率い、人族への刷り込みを行っている、悪意で動く何者かが背後にいると見て間違いないだろう。

 どちらにしろ魔物は殲滅するし、魔族も見つけ次第対処していく。だが一〇〇〇年前もそうしたつもりで何者か黒幕をみすみす見逃していたかもしれない。今回はそんなしくじりはせず、平和と相反する思想を持つ敵は確実に倒しておかなければならない。

 

 「“思念映写(プロジェクション)”」

 

 ベルが世界地図のような平面図を転写する。

 

 「これが現在の世界地図なのですが……」

 

 「へぇ~……やっぱり昔とはところどころ変わってるんだね」

 

 まぁ一〇〇〇年もすれば大なり小なり地形が変わることはあるだろう。

 

 「ここが人族の王都なのですが……」

 

 指したそこは、海沿いにある出張った陸地だ。


 「あれ? ここってこんな風な陸地になってたっけ?」


 東洋域の大陸中腹あたりに出張っているここは、確か昔は陸側に穴が空いたような地形の港湾都市だったような気がするが。

 

 「ここ数百年で開発された都市だと聞いていますが」

 

 「埋め立て? ……にしては規模が大きすぎるような」

 

 まるでどこからかやってきた島が一つそのまま大陸にくっついたような印象を受ける。

 だがこの近辺にこれほどの大きさの島は私の知る限りではなかったはずだ。

 

 「陸なのですが、ただの陸じゃないと言いますか…… 情けない限りですが私の感知能では全貌まで捉えられなくて」

 

 「ベルで分からないってことは相当だね」

 

 元人族とはいえ、今のベルは上級精霊(フェアリー・コマンド)だ。当然人族とは比べ物にならない、それどころか全種族の中でも比較的上位の感知能を身に付けている。

 つまりベルを上回る地力を持つ者によって庇護されているか、ベルの感知できるキャパシティを超えた何かがそこにあるということだろう。


 ……現代の人族の王都はよく調べてみる必要がありそうだ。

ごめんなさい体調が優れないので明日は更新お休みです。

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