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忌み子、のんびりパワフル世界救済(1000年ぶり2回目)  作者: 憩葱助
第一章:アルボスティアの少年少女
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1-28 魔力操作2

 「あー……あぁ~こういう感じかぁ」

 

 エドに続いてカイルにリーナ、「魔導師なのにビリなんて……」と凹んでいたがウルハも無事に身体を巡る魔力の流れを掌握できたようだ。先ほどまでは疲れきった様子で地べたに座り込んでいたが、四人とも背筋を綺麗に伸ばして元気そうに立っている。

 

 途中エドが三人に説明しようとするも語彙に乏しく覚束ない感じになり、カイルとウルハにツッコまれるという一幕もあった。ともあれそれぞれが手を取り合い手を引き合い、まだ幼い四人がつつがなく魔力の掌握を成し遂げた。この四人はそれぞれ違う方向に個性が生きていて、それがお互いにいい影響を与え合っているようだ。私が昔組んでいたパーティーは全員の個性が尖りすぎていて大変な思いをすることもあったので、一行のバランスの良さは見ていて羨ましくもある。


 さて、魔力の掌握はできたが、それでも彼らの魔力操作は完璧とは程遠く稚拙なものだ。

 彼らは身体の魔力を操作するという概念を知りもしなかった。この調子では恐らく彼らに教える立場の人族もこういった技能に疎いのだろう。私たちが見てあげられるうちにより理解を深められるよう手助けしておきたい。


 「魔力操作をしながらの運動では通常の限界を超えた力を扱うことになるから、当然いい加減に力を振るえばその分身体に大きな負担をかけることになる そうならないためにどうすればいいと思う?」

 

 「……限界を知る?」

 

 問いにはエドが答える。

 自分の振るえる力の限界を知るのはもちろん重要なことだ。だがまずそこを探るには四人はまだ練度も低く、身体も仕上がっていない。

 

 「限界は追々知っていけばいい 今一番に知らなきゃいけないことはどれだけの力を扱えるかじゃなく、振るう力の制御の仕方」

 

 成長期にある彼らは振るえる力の最大値も変動する余地が多分にある。その範囲内で最大限効率的に身体を運用するためには少しずつでも“完全に意のままに”扱える余地を増やすこと、つまり力の制御を学ぶ必要がある。

 

 「これから意識しながら練度を高めていけば飛躍的に強くなれる 強くなるってことは自分の命を守ることでもあるから、きっと君たちの冒険の助けになるはず 少しずつでいいから確実に、着実に、学んでいこう」

 

 「はい」

 

 「じゃ、肩慣らしがてらとりあえず麓の里まで歩こうか」


 「はぁ!?」

 

 カイルとウルハが素っ頓狂な声を上げる。

 

 「ここからリスリアまで徒歩では半日ほどかかります……」

 

 リーナが苦笑しながら言う。

 たった半日、それも飛べば数十分……と思っていたがそういえばそうだ、彼らにとって半日は恐らく長いし、彼らは空を飛べない。

 

 「みんな、空を飛べるようになる気はない?」

 

 一応聞いてみはしたが、一行は「この人は何を言っているんだ……」と思っているであろうことが表情にハッキリと表れている。

 

 「アイリ様、私たち少しずつ、少しずつ頑張ります……」

 

 「……そうだね、私さっきそう言ったんだったね」

 


……

 

 

 「リスリアっていうのはどういうところなの?」

 

 「のどかな里です 小さな里ですが林業が盛んで、近隣の地域に供給する木材の生産地として大事な拠点だと言われています」

 

 さすがに一〇〇〇年もすれば点在する小規模な里は風が変わっていたり新たに開発されたりしているだろう。これから向かうリスリアも私は聞き覚えがないので、一行にその様子を尋ねている。

 

 「林業ってことは、木材はさっきの森から?」

 

 「……のはずです ギルド宛にさっきの森での駆除依頼が出ることもあるということなので」

 

 と言っても主に受け応えてくれるのはリーナだ。


 「なるほどねぇ……」

 

 人族の脅威である魔物が闊歩する森が人間にとって重要な木材の生産地、しかも近隣の地域に広く供給源となっているということは、恐らくそのような拠点となって長いのだろう。ではその間、あそこに潜んでいた魔物はあの森に入る人族に牙を剥くことはなかったということだろうか。


 「じゃあみんなは、その依頼を請けてあの森にやってきたんだ?」

 

 「いえ、私たちは依頼ではなく養成所(アカデミー)の卒業試験で……」

 

 「アカデミー?」

 

 「冒険者養成所です そこの卒業試験で実際のE~Fランク相当の依頼と同様の試練を課されます」

 

 「なるほど~」

 

 冒険者なんて一昔前ははぐれ者が大半を占めるような職だったというのに、今ではその養成所まで存在するとは……

 だが感心よりも懸念の方が大きい。冒険者を養成してまで増やそうとしている、しかも現代の冒険者は一昔前のそれと趣旨が丸っきり違うようだ。ゴブリンを狩ろうとしていたことから見て取れるように、単純な冒険ではなく他種族と相対する兵のようなものだろう。

 つまり今人族は侵略兵を養成しているかもしれない。

 

 リーナは私たちの話を親身に聞き入ってくれるが、カイルが言っていたように、彼らが育ってきた中で見てきたもの、教えられ学んだ価値観がある。出会い頭のカイルの口ぶりのように、彼らと同世代の人族の子どもたちが他種族を“マモノ”と忌み嫌い滅ぼそうと動いているのであれば、その価値観を刷り込む大きな要因と思われるアカデミーとやらとは今後対立を免れないだろう。

 ただやはり、何にしても情報が少なすぎる。取り急ぎリスリアに立ち寄る際には、人族に紛れて潜り込むとしよう。

大きな案件で明日残業確定なので、次回分は明後日更新とします。

校正間に合えば明日更新します。

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