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忌み子、のんびりパワフル世界救済(1000年ぶり2回目)  作者: 憩葱助
第一章:アルボスティアの少年少女
10/116

1-2 森の掃除2

◆前回のあらすじ


魔物めちゃ湧いとるやんけ!掃討したろ!

 魔物相手には物理攻撃はすり抜ける。魔法すらも多くは吸収される。

 一方で魔物は人々の命を草を狩るように奪っていく。

 魔物は人々にとって、まさに種族の垣根(かきね)を越えた理不尽な恐怖の象徴だった。

 

 だがそんな魔物の殺戮(さつりく)に対抗する(すべ)が私が知る限りで二つある。

 

 一つ目は奴らに“怯えない”ことだ。

 魔物が人々の命を容易に奪うのは、負の感情から生まれた奴らが人々の心の負の部分に付け込むことで、致命傷を負わせることなく内から直接命を蝕むからだとされる。

 これは人々が魔物に対抗するもう一つの術を見出した後で付帯的に唱えられた説だが、視聴覚を欠く私がその分の意識を余すところなく振っている魔力感知で観察したところ、魔物の邪悪な魔力は人々の心の弱った部分――(うろ)から心房へと忍び込み、魂となる固有魔素を包み込み肉体との結びとなる魔力と隔絶することで人々の命を狩っていることが分かった。

 であれば私にとっては単純な話で、奴らに対抗するには心を強く持ち、奴らが付け入る隙を与えなければいい。昔の仲間には言うほど易くはないとよく怒られたものだが。

 

 二つ目はもっと単純だ。狩られる前に魔物を滅ぼしてしまえばいい。

 これも魔力感知が人より冴えていた私だからこそ単純と言えるのだが、奴らは私からすれば例えでなく風船のようなものだ。

 人々は物理攻撃やまだ攻撃用途として体系が完成していなかった時代の魔法では通用しないとお手上げだったようだが、実は攻撃すること自体は的外れな発想ではない。物理攻撃も魔法攻撃も一定の条件を満たせば魔物には通用するのだ。

 

 魔法で魔物を倒すのに工夫はいらない。魔物の持つ魔力を散らすだけの威力の魔法を放てばいいだけだ。

 集まった魔力を撹乱(かくらん)し、それを押し込める殻を破ってしまえばいい。そうすれば溢れ出た負の魔力は世界を漂う膨大な魔素にさらわれ、巡る内に光に触れて浄化されていく。

 そんな単純なことで難儀するほど魔物の出現当初の人々は攻撃魔法の行使に慣れていなかったのだ。

 またそれができたとして、キリなく湧いて出る魔物の軍勢に力技で相対するほど潜在的な魔力に富んだ者もそう多くはいなかった。


 より魔力を消費せず省エネルギーで魔物を倒すときには、光の属性魔法での攻撃か、光の魔力を纏った物理攻撃を当てるのが最も覿面(てきめん)だ。


 こんな風に

 

 「プチバララララララララ・バーンレイ!」

 

 宙に無数に展開した直径五センチメートルほどの魔方陣から指先ほどの光弾が放たれる。放たれた光弾は魔物の体躯に比べとても致命傷を与えうる大きさではない。それでも直撃した魔物たちは風船が弾けるように跡形もなく霧散していく。

 

 「散弾(バラ)をそんな使い方するとかどんな魔法精度なんですか!? さっき寝起きでどうとか言ってた割に絶好調で……んぅっ! いいですねぇ!」

 

 そんな様子を見て、前線でせっせと光剣を振るうベルは嫌味を言う。


 『光』の体系には、附帯属性として『聖』と『浄』の効能が存在する。それぞれが人々の善意に大きく影響され、また悪意に大きく作用する。

 人々の負の感情の権化たる魔物の魔力はちょうど対極にある光属性の魔力に触れると強烈な対反応を起こす。そうなれば魔物はその原型を留めることができない。

 であれば私のように極力魔力を絞った状態でも光の魔法なら魔物には抜群の効果があるし、物理攻撃の場合はベルのように剣の刃に光の魔力を(まと)わせることで魔物に対しては必殺の剣となる。加えてベルの剣は魔力と親和性の高い魔鉱石で打たれた特級品だ。こちらも微細な付与で大概の魔物は(ほふ)ることができる。

 難儀するのは、そんな光の魔力を操るのが全ての属性の中で最も習得が難しいとされていることぐらいだ。


 ただ、今こうして爪弾くようにお手軽に魔物を(ほうむ)っているのは、森に(ひしめ)く魔物たちが理性も知性もない“野良”だからこそでもある。

 楽なので私としてはありがたい……いや、そもそも野良すら居なければ一番いいのだが、それでもこうして(うごめ)いているおぞましい様を見てしまったからには、誰かが命を狩られる前に根絶やしにしておきたい。


 そんなわけで私たちはおびただしい数の魔物を一掃しながら森を駆けている。

 扇状に広がる地形に無数に蠢く魔物たちを全て殲滅するのは面倒にも思えたが、都合のいいことに私が探知魔法を展開した途端探知に触れた魔物が全て私たちの方へ移動し始めた。

 こんな森の中で敵に出会うこともないだろう。そもそも一〇〇〇年も経った今のこの世界に敵がいるのか。そう思い魔力を隠匿(いんとく)しなかったのは完全に不注意だったが、結果オーライである。

 途中で億劫になり数えるのを辞めてしまったが、その数は一〇〇〇を軽く超えるだろう。昔に比べれば大した数ではないが、一エリアに(ひしめ)く数としてはいささか多すぎる。


 まぁ目につく範囲の魔物についてはその数も質も、産毛ほどの魔力の光弾一発で容易に葬れるのだからさほど問題でもない。

 それよりも一〇〇〇年前に根源ごと“滅ぼした”はずの“邪悪の眷属”がいまだ蔓延(はびこ)っていることに、私の心中は穏やかではなかった。



―――――


[アイテム]


ミスリルソード 


SS級武器-魔法剣


固有名称:ルミナス

所有者:ベル・メイデン


三大魔鉱石の一つ『ミスリル』で打たれた剣

光の魔力を持つベルが使用することで、ベルの魔力に呼応し形状変化し、現状に至る。


標準機能

・順応

単一属性付与シングルエンチャント

・魔法補正

・魔素清浄循環(毒・異物・呪詛無効)

次回分は明日更新予定です。

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