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こだわりの朝ごはん

「じゃあ、朝ごはんだよ!」

 茜が嬉しそうに言う。

 昔は母さんが作っていたのだが、いまでは朝ごはんは茜の担当になっている。

 ちなみに俺が何かの理由で留守にすると朝ごはんがとてもしょぼくなるらしい。

 俺が高校生の頃林間学校に泊まっていた時は朝ごはんが焼いてない食パン一枚だったらしい。

「お兄ちゃん! 早く食べよ!」

「分かったよ。食べるから急かすなよ」

 朝ごはんはトーストとジャム、ベーコンエッグの普通の朝ごはんのようだ。

 なぜかとても美味しい気がするのは俺がシスコンだからだろうか。

「どう? どう? 美味しいでしょ!」

「ああ、なんか普通のとは違うな」

「でしょ! ホームベーカリーでパンは焼いたんだよ。ジャムは私が煮詰めたんだ! ベーコンも高いやつにしたんだよ!」

 実際にうまいのは不思議ではないようだった、ジャムから自作とはすごい。

「すごいな、いつもそうだけど今日も美味いわ」

「ふっふーん! お兄ちゃんがそう言ってくれるなら作った甲斐あるよ!」

 いい気になってるが、実際美味いのでどうこう言えない。

「そういうお前の口だけじゃないところは好きだぞ」

 茜の顔が真っ赤に染まる。好き好き言ってるがこっちが不意にいうのには弱いらしい。

「お兄ちゃんも妹の良さが分かってきたみたいだね! ほらほらもっと褒めて!」

 照れ隠しだろうか、微妙に早口になっている。

 勘違いされがちだが、俺は妹を褒めるのは別に嫌じゃない。ただ異性としてどうこうと言うのに抵抗があるだけだ。感謝するのは人として当然だろう。

「ところでなんでそんなに畳み掛けるんだ。時間はまだあるだろ」

「お兄ちゃんが高校卒業しちゃったから一緒に登校できないじゃない! 家を出るまでしか一緒にいられないんだよ! 時間は大切でしょ!」

 高校は妹と一緒だったので家を出るのもそれなりに早かったが、登校中もまとわりついてきたんだよな。

「どうせここに帰ってくるんだからいいじゃないか」

「私はいまこの時を大切にしてるんだよ。お兄ちゃんとの時間は少しの時間でも大事なの! もちろん将来の時間も大事にしてるけどね」

 将来は同居確定のようだ。嫁小姑問題が目に見えるな。

「分かったから、今日もこの家に帰ってくるから安心しろ。俺が帰る場所はここ以外に無いんだから信用してくれ」

「知ってるよー。その事は何回確認しても安心するからね。注意しても注意しすぎるという事は無いって言うでしょ」

 まるで自動車学校の心がけみたいなことをいう。

「何回も確認すんなよ。帰る場所が他にもできたら真っ先に報告するよ」

「嫌です! お兄ちゃんの帰る場所は私だけなんです! 最後には私のところに帰って来てください!」

茜が涙目で叫んでいる。ブラコンもここまでくるとすごいな。

とは言えないている妹を放っておけるほど茜が嫌いでは無いのでフォローしておく。

「大丈夫だよ、茜が待ってる限りはそこは俺の帰る場所だよ」

「うん、そうだね。お兄ちゃんはいつか私のところに帰ってくるんだよ。兄が妹の元に帰ってくるのは自然の摂理だからね!」

自然の摂理とまで言うか……

時計が目に入る。やばい! もう8時がくるじゃん!

「茜、登校しないと! 時間やばいぞ」

俺は1限を入れてないのでもう少し大丈夫だが……

「お兄ちゃん! ちゃんと今日も帰って来てね! 約束!」

出がけに投げキッスを俺によこして可愛い妹はやっと登校した。

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