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おしえてね!

俺は日菜太、今ちょっと困っていることがある。

まず、俺の妹はブラコンだ。

兄の俺がいうのもなんだが可愛い方だと思う。

「おにーちゃん! 暇だったら勉強教えてよ」

妹の茜が言う。

兄離れできないようで困る、普通高校生にもなれば兄が嫌いになるものだと思っていたが、

この茜はむしろ逆で積極的に話しかけるほどだ。

「お兄ちゃんってば!」

「ああ、なんだ?」

「なんだじゃないよ、勉強教えてってば」

「茜はすごい成績いいだろ。教えられることはあるのか?」

「妹っていうのはお兄ちゃんに勉強を教えてもらうものなの! お兄ちゃんの部屋にあったマンガは大体そうでしょ」

「なんで知ってるんだよ……」

俺の部屋に正式に入れた覚えはここ半年無いんだが……

「いーから、いいから、妹に勉強を教えなさいって。お兄ちゃんだって大学生なんだから高校の勉強わかるでしょ」

ちなみに妹の成績は高校に入って90点未満を取ったことがないらしい。

「何がわからないんだ?」

「お兄ちゃんの好きな人」

「なんの勉強だよ!?」

「将来のため……かな?」

「いやいや、どんな将来だよ」

「わかってるでしょ///?」

「さっぱりわからん」

たまにこういうよくわからない理論を話すんだよなぁ。

ちなみにこういってる妹の姿はワイシャツとスパッツだ、ちょっと目線が高いと裸ワイシャツに見えなくもないので精神的にあまりよろしくない。

ちょっと怒っているようだが、茜が俺にマジギレしたことはない、ないはずだ。

「じゃあお兄ちゃん、得意そうな情報について教えてよ」

「5教科じゃないのかよ、そっちは茜の方ができそうだけどさ」

「お兄ちゃんに見せ場を作ってあげてるんだよ? 数少ない得意教科でしょ」

間違ってはいないんだが傷つくんだよな。

確かに俺はあんまり勉強できた方じゃないけどさ……茜の成績がよすぎるんだよ。

こうして二人の勉強会が始まったのだが、茜はすごい頷いてる、まるで切羽詰まった就活生くらいに頷いているが聞いている気配は全くない。

「オペレーティングシステムは動くためには必要ない」

試しに嘘を教えてみる。

「うんうん、そうだよね」

「聞いてないだろ」

「うんうん」

茜が思いっきり頷く。

「え?! すっごい聞いてるよ!? 全部覚えてるよ」

「じゃあさっきなんて言った?」

「『茜、大好きだよ』だっけ?」

「かすってもいねえよ!? お前なんも聞いてないな!」

「大丈夫だよ、学校で必要なくらいは覚えてるから」

「だったらこの勉強の意味はなんだよ!?」

「かわいい妹とのふれあいに決まってるでしょ」

「即答!! 潔いなおい!」

「いいからいいから、お兄ちゃんは私との会話を楽しんでよ!」

「だったらせめて俺の言ったことを聞こうな」

「お兄ちゃんも私とのふれあいを楽しんでよ! 私と楽しい会話ができるんだよ!?」

会話が成立しねえ……

俺も暇じゃないし、そろそろ寝たいんだがな。

「わかるんならもういいか? 俺も眠いんだが」

「じゃあ……一緒に寝てくれる?」

「もう高校生だろうが、一人で大丈夫だろ。俺の部屋狭いんだから」

「お兄ちゃんと一緒の布団で寝れば広さ関係ないでしょ!?」

「もっとまずいだろうが! お前も俺も何歳だよ!」

「19と16、だから?」

「だからって……開き直ったなオイ」

「私はいつだって大真面目だよ。別にいいじゃない、何もしないよ、できないよ」

「できないってなんだよ?」

「ほら、レーティングの関係で……」

「メタんな」

「冗談は置いといて、いずれお兄ちゃんのこと私のものにするのは本気だからね」

「わかったわかった。ひとまず今日は部屋に帰るぞ」

「しょうがないなあ、もう」

こうして俺は部屋に帰った。この妹はどこまで本気かわからないのでちょっと怖いくらいだ。

好きだと言ってくれるのは悪い気はしないんだがなあ。

その頃茜の部屋ではベッドの下からアルバムを取り出していた。

「やっぱりこれを見ないと安心して眠れないなあ」

そこには兄の写真のみを収めた電話帳並みの暑さのアルバムがあった。

そのアルバムに乗っている写真を兄は一枚たりとも取られたのを知らない。すべて隠し撮りだ。

「お兄ちゃん、大好き」

その写真集を閉じると兄の写真の入ったロケットを抱いて茜は眠りについた。

趣味全開で書かせてもらいました。

妹は正義ですね、ホント。

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