契約は大事です
夢を見た。
暗い空間で俺とマリアがならんで目の前の映像を見ている。
映像の中身は俺の過去だ。
一度目の異世界転移での俺は弱くて、周りに助けられながら魔王と戦っていた。
仲間が次々と倒れ最後に立っていたのは俺だけだった…。
二度目の異世界転移ではあっちこっちで戦争が起き、人同士、魔族同士の戦争まで起こっていた。
俺は崩れ掛けの国に召喚され戦った理由は簡単で目の前で子供や女性が殺されるのを見ていられなかった。
戦って戦って戦って全ての国を倒しそこで見たものは、血まみれの死体と泣いている子供と女性、まさに地獄だった。
俺はそのまま送還されその後その世界がどうなったかは、知らない。
三度目の異世界転移でその頃になるとかなり強くなっていたので、誰にも頼らず皆んなを救おうと1人で魔族の軍に戦いを挑んだ。
何度も死にかけ何とか魔王は倒したものの力尽き倒れているところを送還された。
4度目ね異世界転移では、今迄の無理が祟り身体が悲鳴をあげる。
戦いを出来る状態ではなく、それでも相手は待ってくれないので【魔操術】と【魔装術】を編み出して戦った。
「辛かったですね…」
夢の中のマリアが泣きそうな辛そうな顔で俺を見る。
「辛かった事もあったが、救えた人も居たさ、俺は自分勝手なだけだよ…1度目の時みたいに周りに頼ればこんなに辛い思いはしないで済んだんだろうが…」
俺は溜息を吐きながら言う。
「貴方は、優し過ぎるんです!途中で諦めても誰も文句は言わないはずです!」
マリアは苦しそうに言った。
「ありがとうマリア、でも止められなかったんだ…ガキみたいだよね、でも、それでもって言い続けて意地になって、ホント…馬鹿みたいだ」
「私が貴方の隣にずっと居て支え続けます!私だけで足ないんでしたら嫁を増やしても構いません!だからこの世界では幸せになって下さい!」
言い終わるとマリアは泣きながら抱きついてきた。
「ありがとうマリア、本当にありがとう…」
俺もマリアを抱き締める、その時いきなりアナウンスが流れた。
『魂の契約が完了しました、これによりマリア・シンドーは半神に進化します。詳細はタブレットで確認してください。』
アナウンスが流れ終わると目の前が真っ白になった。
「うっ…うん、やはり夢か…」
「うん…」
俺が起きるとマリアも起き出した昨日の夜の運動の後そのまま寝たから二人とも全裸だ。
「おはよう、マリア」
「おふぁようございます…」
「とりあえず服着ようか」
俺は服を着ようとしてある事に気づいた。
「マリアの服どうしよう…」
そう、マリアの服が無いのである、昨日の服はボロボロで着ることは出来そうにない。
「ん〜とりあえず俺の服で悪いんだけど、これを着てくれないか?」
俺は悩んだ末にスペアの皮パンとTシャツを渡した。
「十分です、ありがとう」
「その服はサイズ補正の魔法が掛かってるから着たらピッタリになるよ」
「は〜い」
マリアは微笑みながら服を着ていった。
マリアの話し方も少しずつ固さが取れてきたようだ、多分あの夢を見たからだろう。
「そういえば、夢の中でタブレットを確認しろって言ってたな」
俺は【無限収納】からタブレットを取り出した。
「ん〜なるほどね」
タブレットには新しく『魂の契約』の項目があった。
・魂の契約
魂の契約は、心から愛し合う者同士が生涯離れない事を誓った時に発生する神の契約、神と人が行った場合人は半神になる。
「なるほどね、だからマリアが半神になったのか」
「私が何ですか〜?」
「なんでもないよ、おっ新しいアプリがふえてる」
新しいアプリの名前はステータスカメラと言うらしい。
このアプリはタブレットに付いているカメラで対象を撮影すると画面にステータスが表示されるらしい。
「よし、試しに自分を撮ってみよう」
パシャ…
「ほ〜なるほど〜あっ!保存も出来るんだ」
「マリア、チョットこっち見て」
「何ですか?」
パシャ…
「キャッ!な、何?」
「ほら、見てみて」
「私…ですね横に書いてあるこれは何ですか?」
「これはマリアのステータスだよ、俺のも、ほら」
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氏名 ユウ・シンドー
種族 神人
性別 男
年齢 35歳
職業 戦神・生産神
スキル
【無限収納】【超回復】
技術
シンドー流戦術・シンドー流生産術・神術・時空魔法・無属性魔法・生活魔法
装備
黒竜革の革ジャン・黒竜革の革パン・Tシャツ・トランクス
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氏名 マリア・シンドー
種族 半神
性別 女
年齢 25歳
職業 服飾師
スキル
【無限収納】
技術
裁縫・デザイン・補整・家事
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「私、ヒューマンじゃなくてハイヒューマンになってる…」
「あぁ、俺と契約したからだね、ハイヒューマンは契約主の俺が死ぬまで不老で俺が死ぬと同時に死ぬんだけど…後悔してる?」
「いえ、むしろ嬉しいです!これで死ぬまで一緒ね!」
マリアは嬉しそうに抱きついてきた。
「あぁ、これからもよろしく!」
今度こそ、この温もりを絶対に守ると俺はこのとき誓った。