家臣ゲットだぜ!
ヒューイと家族の心温まる光景を暫く眺めているとヒューイが俺の方を向く。
「どうした?」
俺がそう尋ねるとヒューイが俺の前にしっかりとした足取りで歩いて来る。
手加減はしたが俺のパンチで負ったダメージは、この短時間でほぼ回復した様だ。正直……驚いた。
「貴殿にお願いしたい事が有るのである!」
ヒューイは俺の前で片膝をつき頭を下げて騎士が王に対する様な格好で俺に叫ぶ。
「お願い?」
「貴殿等はこれから帝都に向かうのであろう?ならば吾輩もともに戦わせて欲しいのである!」
「ふむ……」
確かに騎士団の団長だったこの男ならネルだけだと分からない帝都までの詳しい道程や帝王の人となりも分かるし便利だが……。
「理由はなんだ?今回は偶然俺たちが相手で助かったが次もしまた捕らえられたら命の保証は無いぞ」
まぁ、万に一つも俺たちが負ける事は無いがな。
「今の帝王の治世ではいずれ帝国は滅びるのである!土地は痩せ民達は貧困に喘ぎ身体の弱い者は息絶えて、生き残った者も奴隷に落とされて帝王の実験台にされるのである!ならば吾輩達が帝王を討ち帝国を元に戻すのである!」
「なるほど……それで?娘さんと嫁さんはどうするんだ?」
「私は夫と供に参ります、騎士の嫁になった頃より覚悟は出来ております」
「私もです!騎士の娘ですから!」
「この通り吾輩達の覚悟は出来ているのである!」
ヒューイが嫁と娘の言葉を聞き力強く答える。
「ふむ……ならばヒューイ、お前は今より俺の家臣となれ!」
「家臣…しかし吾輩はコレが付いているので帝王以外の家臣にはなれないのである」
ヒューイが自分の首に付いている革の首輪を指差す。
「なんだ、そんな事か」
俺が自然にヒューイの首に付いている首輪に神気を込めて触れるとヒューイの首輪は千切れ飛んだ。
「これで何も問題無いな」
俺が笑いながらなんでも無い様に言うとヒューイは首を触りながら唖然としていた。
「お前が本心から俺の家臣となり共に来ると言うのならこの剣を受け取れ」
俺は【無限収納】からいつも使っている《神製鋼のバスターソード》の二本の内の一本を取り出して差し出す。
「吾輩は…この命尽きるまでどこまでもお供するのである!」
剣をしっかりと受け取ったヒューイは涙を流しながら、しかし男臭いいい笑顔で答えた。
ヒューイとの会話が終わると10人程のボロボロのメイド服を着た女性が俺の前に現れヒューイと同じ様に片膝をついて頭を下げる。
「「「私達も同行させてください!」」」
驚いた事にその10人程の女性達がヒューイ達と同じ様に俺たちと同行させて欲しいと訴えた。
「理由は?」
俺は簡潔に理由を尋ねる。
「私達は王妃様を助けたいのです」
女性達の一番前に居る女性が答える。
「何故?」
「王妃様は奴隷の私達を帝王から守っていただいたからです」
それから彼女達の話を聞くと、彼女達も帝王の実験台にされそうだった所を助けられたらしい。
俺はその王妃に少し好感を持った、しかも彼女達は皆なかなかの美人でスタイルも俺好みだった。
「だが、お前達が来た所で足手まといなだけだぞ」
見るからに戦闘能力が低そうな彼女達を見て俺は残酷だが正直にそう告げる。
「ですが…この身を盾にする事しか私達が王妃様に恩をお返しする事が出来ません」
代表して答えていた女性は俯きぽたぽたと涙を零す他の女性達も暗い顔をする。
う〜ん、女の涙特に美人の涙は反則だな…。
「分かった」
俺が頭を掻きながらそう答えると彼女達の顔がパァと明るくなる。
「ただし、条件がある」
「条件…ですか」
「そうだ、まずお前達全員戦闘に参加する事を禁止する」
「え、それでは同行する意味が無いでは無いですか!」
「文句があるなら来なくていい、次にお前達の全てを俺に差し出せ!この2つが条件だ」
怒りなのか悲しみなのか彼女達は皆プルプルと小刻みに震えながら俯いている。
「その代わり俺が必ず王妃を救い出してみせる、だからお前達は身も心も俺に委ねてくれないか?」
「「「はい!」」」
俺が安心させる様に出来るだけ優しい笑顔で彼女達に尋ねると彼女達は頬を赤らめて答えてくれた。
「あの顔は反則ばい、あの娘達完全に堕ちたね」
「特に一番前の人なんて完全に目がハートマークなんですけど…」
「しゃ〜ないしゃ〜ないウチらの旦那様は天然の女殺しや、今更やんウチもあの顔で堕ちたし」
「「まぁ確かに…」」
「まぁ良いじゃない!私達の旦那さまは夜も無敵だし正直4人でも毎日は大変じゃない?」
「「「う〜ん…確かに」」」
「今後は彼女達にも頑張ってもらいましょう」
「「「賛成!」」」
なんか嫁さん達が背後で色々話してるけど声が大きくて正直目の前の女性達に聞こえてますから!
ほら、彼女達顔を真っ赤にして俯いちゃったよ。
「あの…その…が…頑張ります!」
一番前の女性が顔を真っ赤にして、でも期待のこもった目で俺を見て来る。
その女性は両手を胸の前で祈る様にギュッと繋ぎ両手に押し出される様に胸が盛り上がり強調されて俺の視線は完全に奪われてしまい思わずゴクッと喉を鳴らす。
俺が思わず男の情欲の視線を浴びせてしまったのに気付いてハッと我に帰る。
すると目の前の女性はブルッと震え膝をガクガクさせて崩れ落ちる。
俺は慌てて抱きとめると彼女はポ〜っとした蕩けた目で俺を見つめる。
「だ、大丈夫か?」
「は…はい、その…殿方にその様な目で見られたのは…初めてで見られただけで…ひぅ!」
何もしてないのに俺の腕の中でビクンビクンいってる女性を見て…どんたけ〜と思うしかなかった。
「君の名前は?」
俺は気を取り直して女性に尋ねる。
「え…エマと申します」
俺はエマの耳元で囁く。
「今夜は、寝かせないから覚悟しておけ」
「〜〜っ!はぁ…はい」
エマはブルッと一度大きく震え一息ついてから答える、そしてフラつきながらも立ち上がり。
「お待ちしております」
とフラつきながら頭を下げる。
これで今夜の楽しみは決まった、後は雑事を片付けるだけだ。
俺はエマとその他の女性達の首に付いた首輪を千切り飛ばしその後他の人達の首輪も外した。
俺は他の奴隷だった者達に尋ねる。
「お前達はどうする?」




