決意
その後嫁さん達と合流した俺は帝国へ向けて出発ようと準備しているとケビンが慌てた様子で走って来た。
「教官殿!何処へ行かれるのですか?」
「帝国だ!舐めた真似してくれたお礼をしにな」
俺がニヤリと笑うとケビンが厳しい顔をして尋ねる。
「どの様にして行かれるのですか?」
「な〜にパパッと走って行って来るさ」
俺がそう言うとケビンは呆れた様な顔をして溜息を吐いた。
「教官殿達なら出来るんでしょうがその前に話しておきたい事が…」
「なんだ?聞こう」
ケビンの話は帝国の捕虜からの情報だった。
要約するとこうだ。
帝国領と今いるオスカー領は大きな山を間に挟んでいて、山を迂回する道がオスカー領と帝国領を繋いでいるらしい。
そして今その道を通りながら帝国軍が攻めてきているらしい。
「で?だから?俺たちには関係無いな!向かってくるのなら斬るだけだ」
「ですよね〜」
ケビンが諦めた様に溜息を吐いた。
「まぁ、邪魔なモノは斬り捨てるからお前達は道の掃除でもしてろ」
俺はケビンの肩をポンポンと叩いて踵を返して歩き出す。
「それじゃあ、行くぞ!」
「「「はい!」」」
それから俺たちは走った、山の麓までは距離が結構あったらしく鈴木士郎やリンがへばってしまったのでその日はそのまま《隔離結界》と《魔法の家》のコンボで休む事にした。
魔法の家の部屋数はまだ余裕があるので鈴木士郎とリンにも一部屋づつ与えて休む事にした。
当然夜の運動会を嫁さん達と頑張った訳だが嫁さん達全員を撃沈して気持ちよく寝ようかと思った時まさかのリンの乱入により最終的にリンも嫁にするはめになってしまった。
その時…俺は気付いた、もうこれはハーレムキングダムを作るしかないと…。
一睡もする事なく朝になったが気分的には爽やかな目覚めだった。
俺がリビングに降りると鈴木士郎がキッチンで料理をしていた。
「早いな、何作ってんだ?」
「はい、ベーコンエッグっす」
「お前、そんな喋り方だったか?」
「いえ違いますけど、こっちの方が喋りやすいっす」
「まぁ、お前がそれでいいならいいが…」
鈴木士郎は俺と喋りながらベーコンエッグを皿に乗せて俺の前に出してきた。
「お前、料理出来るんだな…意外と器用」
「このぐらい普通っす、それより…僕の事は士郎と呼んで欲しいっす!」
「あぁ、わかった…士郎!お前に言っておかなきゃならない事がある」
「なんっすか?」
士郎は佇まいを直して俺を見据える。
「俺は…ハーレムキングダムを創ろうかと思う…士郎、お前も俺と一緒にハーレムキングダム作ろうぜ」
俺は士郎に向けてサムズアップをしながら話すと。
「はい!」
士郎は最高の笑顔で俺に答える。
「取り敢えず、帝国をイワしてから本格的に考えるとして…お前にはこれを渡しておく」
俺は【無限収納】からキューブ型のある魔道具を取り出した。
「これは、イメージした武器になる魔道具[ミラージュウェポン]だ!」
「これが魔道具っすか…ファンタジーキターーー!!」
士郎が喜び魔道具をベタベタと触っている。
「頭に武器のイメージを思い浮かべながら握れば勝手に魔力を吸い取ってその形になるから試してみろ」
「武器っすか…」
士郎が目を閉じていると魔道具の形が変わりボウガンの形に変わった。
「ほう…ボウガンか…確かにそれなら使うのも簡単だな」
「マジで出来た…ファンタジーッパネエっす!」
「それはやるから自分の身は自分で守れ!」
「うっす!了解っす」
士郎は魔道具の形を変えながら遊んでいるのを眺めながら嫁さん達が起きてくるのを待った。




