帝国騎士が弱すぎる…
嫁さん達から連絡を受けた俺は、セリーヌ王女に話した。
「セリーヌ王女殿下、王都が襲撃された様なので急いで戻った方が宜しいかと思います」
「何だと…何故貴方がそんな事わかるのかしら?」
セリーヌ王女に聞かれた俺は指輪の事を話した。
「そんな物が…わかりました、貴方を信じましょう」
「よろしいのですか?」
ケビンが驚いて聞き返す。
「予定の亜竜も倒しましたし、トロルもありますから今回はこれぐらいで良いわ」
「わかりました!全員帰還準備!急げ!」
それから急ぐためトロルを解体せずに俺が担いで魔物の領域を出て馬車を停めてある場所まで行き馬車にトロルを載せてオスカーの街に向かう。
行きと違い急ぐ為体力回復ポーションを馬達に与えて夜通し走って何とか朝方にはオスカーの街に着いた。
オスカーの街が見える場所に着くと街の外に見たことの無い旗を掲げた軍勢が陣取っていた。
「ケビン、あの軍勢は何だ?」
「あれは…帝国の旗!多分帝国の軍勢です!」
「多分?帝国だと確定でき無いのか?」
「旗は帝国なのですが…あんな真っ黒な服を来た騎士は知りません」
軍勢をよく見てみると最前列に学ランを着た高校生くらいの男子達が樽を背負わされて立っていた。
「あれは…多分騎士じゃ無いな」
「教官殿は彼等を知っているのですか?」
「いや、あの服を知ってるだけだ」
どうするか…多分あれは地球のしかも日本の学生だと思うが…何故この世界に?
俺が暫く様子を見ると学生達は首輪をつけられガタガタと震えて顔を青くして今にも倒れそうだった。
樽に紐が付いていてその紐に学生達の後ろにいる男達が火をつける。
それを見た瞬間マリア達が言っていた事を思い出した。
あれは…多分タル爆弾だ!あのままじゃ学生達が死んじまう、けど俺には関係無いな…まぁ見捨てるのも後味悪いし助けてやるか。
俺は右手を前に出しイメージする、今から使うのは魔術、まぁ初級の水魔法だが今回は威力も必要無いのでこれで良い。
おれの頭上に数十個の魔法陣が浮かび上がる。
「《ウォーターボール》」
俺が呟くと魔法陣からバレーボール大の水の球が飛び出し学生達が担いでいる樽に次々命中していく。
俺が学生達が担いでいる樽を全て魔法で撃ち落とすと学生達の後ろにいた騎士達が慌てだす。
「全員抜剣!周囲を警戒しろ!」
隊長らしき騎士が慌てて指示を出しているが遅い…俺は魔法を撃った後すぐに駆け込んで学生達を巻き込まない様に騎士達を切り捨てる。
「教官殿に続け〜!遅れるな!」
ケビン達が俺に続いて斬り込んで来たので俺はさらに奥に進んで学生達の前に出る。
学生達はガタガタと震えながら俺を見上げていた、俺は学生達を見下ろしながら。
「お前達!死にたく無かったらじっとしてろ」
「は…はい!」
俺は騎士達を次々と斬っていると身の丈より長い大剣を持った男が名乗りを上げた。
「帝国騎士団2番隊隊長オルト・レングスいざ尋常に勝負!」
牙を剥いた獰猛な獣の様にニヤリと笑ってオルトと名乗った騎士が構える。
「さっさと来い、時間の無駄だ」
俺は右手を前に出し人差し指でこいこいと挑発する。
「舐めるな〜!」
オルトは大剣を剣道の面打ちの様に放りかぶって突っ込んできた。
俺は余りの隙だらけに一瞬誘っているのかとも思ったが、まぁ誘いでも良いか…と思い剣を横に振るう。
俺は唖然とした、誘いに乗ったつもりで振ったのに胴体を真っ二つにしてしまったからだ。
「む…無念なり」
オルトが真っ二つになって崩れ落ちる。
正直…弱すぎ!嘘だろ!
俺が唖然と見下ろしていると帝国の騎士達が慌て逃げ出した。
「撤退!隊長がやられた!全員撤退!」
蜘蛛の子を散らす様に逃げ出す騎士達を見送り俺は今だに震えてじっとしている学生達の元へ向かう。




