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5度目の異世界は…  作者: ゆう
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ネルVSセリーヌ

北門の前に集まった俺たちセリーヌ王女一行はオスカーの街の北門から見て東にある魔物の領域に向かった。

移動はここまで来る時と同じように俺が馬のエヴァに乗りセリーヌ王女が箱馬車、ケビン達が帆馬車に乗っている。

ネルは俺の前に乗りエヴァの手綱を握っている。


魔物の領域が近いからか王都からオスカー領までの道程に比べて魔物の遭遇率が高い。

だが、ケビン達がサクッと倒してしまう為俺が出る必要が無い。

手持ち無沙汰な俺が前に乗せているネルを見ると。


「〜〜♪」


すごく楽しそうにしていた。

俺はネルを腰に手を回し抱き寄せ体を密着させる。


「なんか楽しそうだな」


俺が尋ねるとネルは頭を俺の胸に預け俺を見上げる。


「うん♪私、男の人と馬に乗ってデートするの夢やったんやもん♪」


眩しいぐらい満面の笑みで俺を見上げるネルは正直可愛い。

俺もつい笑顔になりネルを抱き締める。


「そっか、これからは俺がいつでもしてやるよ」


「うん♪ありがとねご主人様♡」


今は一応奴隷だからネルは俺の事はご主人様と呼ぶことにしたらしい。俺が言わせた訳ではない!断じて無い!


それから、暫く俺は何もせずに進みまた暇になりボーっとネルを眺めているとネルのエルフ耳がピクピク動いているのに気付いた。

俺は興味が湧きスッとネルの耳を触る。


「ひゃ!」


ネルがビクン!と跳ねる。


「いきなりなんばすっと〜?」


ネルが驚いたような顔をして振り返る。


「いや、気になってな…いいだろ?減るもんじゃ無いし」


俺はネルを逃さないように左手を腰に回し右手でネルの耳を揉むように触る。


「んっ♡…あっ♡…ん〜〜♡」


「なかなか、癖になりそうな触り心地だな」


その後暫くネルの耳の感触を楽しんでいると、森の方から耳を劈く様な何かの鳴き声が響いた。


「ん?何の鳴き声だ?」


「はぁ♡…はぁ♡…んっ♡…もうダメ…♡」


ネルは顔を火照らせ目を潤ませて物欲しそうに俺を見上げる。


「何がダメなんだ?そんなに物欲しそうな顔をして」


俺はニヤリと笑いながらネルを見る。


「ご主人様はイジワルたい♡」


その後も俺とネルがイチャイチャしてしるともう一度先程と同じぐらいの鳴き声がして2人で同じ方向を向く。


俺はエヴァから降りて足元に落ちている石を拾う。


「ったく、うるせえ!」


石を軽く持ち野球のオーバースローの投球フォームで鳴き声の聞こえた方に石を投げた。


投げた石は見事に当たった様で森の木々をなぎ倒しながら鳴き声を出していた魔物が姿を現した。


姿を現したのは、出会った頃のグラと同じグランドドラゴンだった。

グランドドラゴンは俺たちに向かって威嚇の声をあげて襲い掛かってきた。


「亜竜風情が図に乗るな!」


【無限収納】からいつも使っている《神製鋼のバスターソード》を取り出し投擲する。


「ふん!」


投げた剣はグランドドラゴンが避ける暇もなくグランドドラゴンの頭に突き刺さった。

頭に突き刺さった瞬間ビクリと硬直した後糸が切れた様に崩れ落ちた。


「ふ〜、すっきりした」


俺は腕を回しながらグランドドラゴンに近づき頭に突き刺さっている剣を引き抜く。


「これ、どうする?」


俺は剣を一回振り血糊を払い、ケビン達の方を振り向く。


「持って帰るに決まってるじゃない!亜竜や竜種の素材は貴重なのよ!」


俺が振り向いた先にはセリーヌ王女が腕を胸の前に組み仁王立でそう言った。


「どうやって?まだ魔物の領域に着いてもいないが?」


「関係無いわ!馬車に乗せるわよ、急いで!」


騎士達の馬車の1台にグランドドラゴンを乗せて見たが馬だけでは動かせなかったのでその馬車に乗っていた騎士達が馬車を押す事で何とか馬車は進み、その日の夜には何とか予定の場所まで進み野営の準備をした。


野営の準備が終わり夕食を食べ終えて俺がネルの耳を触ったり悪戯しながらイチャつきつつ夜の見張りをしていると背後に気配を感じた。


振り返るとそこにはセリーヌ王女が出発初日の夜のような顔をして、にじり寄ってきた。


俺はやっべ…襲われる!と理解した瞬間逃げる為に身を翻す、翻した拍子にネルが俺の腕の中から飛び出した。


ネルは俺を庇う様にセリーヌ王女に立ち塞がる。

ネルはキッ!とセリーヌ王女を睨みつけて。


「あんた!私のご主人様になんか用なん?」


「奴隷風情には関係ない!そこを退け!」


「奴隷やけん退かん!ご主人様に危害を加える奴相手に退く必要がないやん!」


「危害だと?だれが危害を加えると言うんだ?私が今からする事はご褒美だぞ!」


「ご褒美って言うのは相手が喜んで初めてご褒美なんよ?ご主人様は嫌がっとるやん!」


いいぞ!ネル、よく言ってくれた!


「あれは照れてるだけだ!私のキスが嫌な男がいる訳ないだろう!」


物凄い自信だな…俺とケビン以外ならあながち間違いでもないが。


「ご主人様はね!私みたいな小さな女が好きなの!あんたみたいなデカイだけの女はお呼びじゃないんよ!」


その言い方だと俺がロリコンに聞こえるが、訂正する訳にもいかないからそのままネルを見守る。


「そ、そんな…」


セリーヌ王女は動揺して狼狽えるがキッ!とネルを睨み付けて。


「き、今日は日が悪いわ!今回は引いてあげるけどすぐに私の魅力で私の男にしてみせるんだから!」


踵を返し去っていった。


俺はホッと安堵の溜息を吐きネルに礼を言う。


「ありがとうネル、助かった」


ネルは笑顔で俺に抱き付いて。


「すっとした〜〜♪最高の気分♡」


その後は何事も無く2人でイチャつきながら夜の見張りを続けた。


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