ネルの依頼内容です
朝、宿のベットで起きた俺は昨日ネルから聞いた話をネルの寝顔を見ながら考えていた。
昨日ネルから聞いた話は、ネルの生い立ちや今回の仕事に関しての事で、今回の仕事は帝国が依頼してきたらしい。
ジルも前に言っていたが帝国内は最近戦争の気配が帝都を覆っている。
ただ、帝都も一枚岩では無いらしく武力での大陸の統一を提唱する過激派と武力では無く講話を持って帝国のもと一致団結して魔族と戦おうと言う穏健派に分かれてピリピリとした緊張感に包まれているらしい。
今回依頼してきたのは過激派で王女を殺してパスト王国との戦争の切っ掛けにするつもりだった様だ。
ネルはどこの国にも属さない暗殺集団アイアンメイデンのリーダーでこの世界でもトップクラスの暗殺者らしい。
普段ネルが依頼を受ける事はあまり無いらしいが今回は依頼主が帝国のかなり高い地位の貴族らしくネルが直接受けたそうだ。
貴族の名前は俺が知っていても意味が無いので後で俺がセリーヌ王女に伝える事にした。
ネルは今回の依頼を成功させると報酬としてその貴族の側室になれるはずだったらしい。
ネルの様な容姿の女はまず結婚出来ないので例え側室でもいいと思ったそうだ。
俺はそれを聞いた時不思議に思った、普通王族の暗殺をした者を生かしてしかも側室とはいえ妻にするだろうか?
俺がその貴族なら用済みになった瞬間殺すはずだが?
俺がそう疑問を口にするとネルは青い顔をして震えていた。
どうやら、あまり深く考えず依頼を受けたらしい、貴族と結婚出来る事に舞い上がり普段ならしないミスを犯した様だ。
ネル本人曰く、
「しょ〜がなかやん!今まで優しくしてくれる男なんて詐欺師ぐらいやったもん!私みたいな容姿の女は貴族の妻になれるって言われたらコロッと騙されるばい!」
と泣きながら叫んでいた。
ネルの魂の叫びを聞いて俺はしょうがないからネルに首輪をつけて話しかける。
「これからはネルは俺の物だから俺が守ってやる」
俺が笑顔でネルの頭を撫でながら言うとネルは泣き止んで。
「本当?本当に守ってくれる?」
と尋ねてきたので。
「あぁ、その代わり俺の妻になるんだ、わかったか?」
「はい♡」
嬉しそうに頷いたネルを朝まで可愛がったのは仕方がないよな…男だもの。
そして現在、俺の腕の中でスヤスヤ寝ているネルの頬を撫で、考える。
ネルの首に着けた首輪はマリアが奴隷の時に着けていた物で知らない人が見たらネルは俺の奴隷に見える。
これは、ネルを帝国の刺客から守ったりセリーヌ王女にネルの素性を聞かれた時に奴隷に見えた方が都合がいいからだ。
奴隷ならば主人が命令すれば絶対に逆らわないためネルの危険性がない事がアピール出来て魔物の領域に連れて行ける。
「ん、ふぁ〜、おふぁよ〜」
「あぁ、おはよう」
ネルが目を擦りながら起きた。
起きたネルは俺の首に手を回しキスをして来た。
ゆっくり長めのキスを数分して、起き上がり支度をして外に出る。
適当な屋台で朝食を2人で摂りケビンの屋敷に向かう。
屋敷に着くとケビンが産まれたての小鹿の様な足取りで出迎えた。
「おい、大丈夫かケビン?」
「は、はい…あの後頑張りすぎました」
戦の後の様ないい笑顔でケビンが笑って答えた。
多分大丈夫だと思うが心配なので体力回復ポーションをケビンに渡す。
「とりあえず飲んどけ」
「あ、ありがとうございます」
ケビンはその場でポーションをグイッと煽る。
「キック〜〜!!」
ポーションを飲んだケビンは顔色も良くなり
足取りも元に戻り完全に復活した様なのでケビンの屋敷に預けていたエヴァを受け取り跨る、ネルを俺の前に乗せてる。
「ケビン!集合場所はどこだ!」
集合場所を聞いてなかったのを思い出しケビンに尋ねる。
「北門の前であります!」
俺は満足気に頷きエヴァに乗ってゆっくりと向かった。




