王都に到着
出発から5日目それまでの訓練は毎日馬車を引くのみで基本となる足腰鍛錬がある程度終了した。
「貴様ら!今日からは、食事は自分達で確保する事!狩れば狩っただけ食べ放題だ!どうだ?嬉しいか!」
「「「サーイエスサー!」」」
「では!今日も馬車を引け!早めに目的地に着けばその分狩りに時間をやるぞ!」
「「「サーイエスサー!」」」
この5日間で騎士達は大分、力が付いた。
今では途中で倒れる者もいない。
それから、予定より早めに目的地に到着した俺たちは、狩りに出た。
騎士達は目を血走らせながら森に分け入る。
騎士達には前日から食事を摂らせず、かなり飢えさせている。
「「「肉だ…!肉だ…!肉だ!!」」」
騎士達は近場にいる、ウサギ等の獣達に襲いかかる。
結果は3割程が狩りに成功していた。
暫く騎士達が狩りに勤しんでいると、森の奥から「ズン…ズン…ズン…」と大きめの獣の足音が聞こえて来た。
「ブヒィ〜〜!!」
豚の様な鳴き声と共にその巨体が姿を現した。
「ヒッ…あれは…グレートボアだ!」
騎士達の腰が引ける、俺はゆっくりと前に出てグレートボアを見る。
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種族 グレートボア
脅威 Bランク
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グレートボアは大型ダンプの様な大きさのイノシシだった。
「貴様ら!何を恐れる!でっかい肉が向こうからやって来ただけだぞ!」
俺がそう叫ぶと騎士達は気を持ち直し構える。
「そうだ!1人で相手せず全員で掛かれ!貴様らがこの5日間で鍛えた力を見せてみろ!」
「うぉ〜〜!!」
騎士達の10人程がグレートボアに取り付き動きを押さえる。
その隙に。後の20人がオークの剣を使ってグレートボアを仕留めた。
「うぁ〜〜!!やった!やったぞ!俺たちだけで勝てたんだ!」
騎士達は肩を組んで喜んでいた、俺はそれを満足気に眺めながら。
「貴様ら!早く運ぶぞ!今日は肉祭りだ!」
「オォーー!!」
それから、全員で狩って来た獲物を解体して、カレンとマリアがスープを作っている間に俺は鉄板を用意し鉄板焼きの要領で肉を焼く。
味付けは塩こしょうとシンプルだが騎士達はガツガツと無言で貪っていた。
そんな感じで5日目から10日目までは過ごし10日目からは、更に俺との組手をプラスして全員の実力を底上げし王都に着くまで鍛えに鍛えた。
「貴様!その程度か!」
俺にビンタを喰らい、倒れた騎士を挑発する。騎士はすぐに起き上がり。
「ま…まだです!いきます!うぉ〜〜!!」
俺に向かって殴り掛かってくる。
俺は騎士の拳を軽く躱しすれ違いざまに足をかける。
「足元が隙だらけだぞ!よし!次!」
俺は足を掛けられて倒れた騎士を一瞥し一言注意してから次の騎士を呼ぶ。
「はぁ…はぁ…ありがとうございました!」
騎士は頭を下げてその場を離れる。
この様な感じで肉体だけではなく精神も鍛えられ立派な騎士になっていった。
出発初日には全員がポッチャリ系の子豚ちゃん体型だった騎士達は、今ではパウロォォンと効果音がつきそうなムキムキで逆三角形のボディービル体型になっている。
顔付きも最初は不良少年の様な顔付きから凄みのある歴戦の兵士の様な顔付きになっている。
そうして、20日目に予定通り王都に付いた。
「貴様ら!俺たちはこれからギルドに行き模擬戦の内容を聞いてくる!その間、貴様らは門の前で待機だ!わかったか!」
「「「サーイエスサー!」」」
騎士達に馬車を預け俺たちは、門を通り冒険ギルドに向かう。
王都のギルドは門の近くにあり、すぐに見つかった。
俺たちは、ギルドの中に入る。
王都のギルドは流石と言うか、ジョージのギルドの倍はありそうな大きさだった。
俺は受付に行き依頼の達成を報告する。
「すまない、依頼の報告に来たんだが」
「はい、承っております、ユウ・シンドー様ですね、ギルドマスターがお待ちです。」
受付嬢が受付の裏に行き1人の女性が出てきた。
「私がご案内致します。付いて来てください」
俺たちは、その女性について行きギルドマスター室に向かった。
そして、ギルドマスター室の前に到着した俺たちは、案内してくれた女性に促され部屋に入る。
「ギルドマスター、ユウ・シンドー様御一行をご案内しました」
「ご苦労様、君達か…あの面倒な依頼を受けてくれた冒険者は。私は王都のギルド本部のギルドマスターのマリだ、よろしく」
ギルドマスターと呼ばれた女性は手を差し出して来る。
「冒険者のユウ・シンドーだ、こっちが…」
「妻で冒険者兼服飾師のマリア・シンドーです」
「妻で冒険者兼料理人のカレン・シンドーやで!よろしゅうな〜」
「クー」
「あぁ、よろしく」
マリと呼ばれた女性は俺たち全員と握手をして話し始めた。
「では、本題だが試合は明日の昼だ。ここまでは大丈夫か?」
「あぁ、問題無い」
「装備は支給されるらしいから何も持ち込めないぞ、本当に大丈夫か?」
「あぁ」
「場所は騎士団の訓練場で相手は一番隊全員だぞ!数の上でも3倍以上だぞ」
「あぁ、全く問題無いな、話はそれだけか?なら俺たちは、これで失礼する」
俺たちはそう言いながらギルドを後にする。
その後、馬車に戻った俺たちは、騎士達に明日の事を説明する。
「整列!貴様らの試合の日が決まった!明日の昼だ場所は騎士団の訓練場!わかったか!」
「「「サーイエスサー!」」」
騎士達の目に気負いも焦りもない。
「では!今日はこれから自由時間とする!明日の昼までに訓練場前に集まる事!但し自由だからと言って騒ぎを起こさない様に!わかったか!」
「「「サーイエスサー!」」」
「では解散!」
騎士達は王都の中に入り思い思い場所へ向かった。
俺たちも宿を取りその日は宿で過ごした。
20日間我慢していたのでマリアやカレンも獣の様だったのは、仕方の無い事だろう。




