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5度目の異世界は…  作者: ゆう
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2日目です

出発初日の夜、俺とマリア、カレン、グラの3人と1匹は、焚き火を囲んで丸太に腰掛けていた。

俺たちは夜の見張りとして、騎士達が寝静まった後も起きている。

夜の見張りと言っても周りに結界は張っているので形だけだ。

騎士達にこちらの手の内を余り見せ無い様にする為でもある、結界等の魔法の才能はこの世界では貴重で、だからこそ貴族に狙われるらしい。


俺は、暇な時間を使って騎士達の資料に目を通すため、焚き火の近くでジルから貰った資料を取り出し眺める。


「何を見ているんですか?」


「ん?これか?これは、アイツらの情報だよ」


「アイツらってあの騎士達の?何で今更見るんや?」


「アイツら個人の情報を俺は余り知ら無いからな…知っておいて損は無いだろう?」


「確かにそうやね!」


「どんな事が書いてあるんですか?」


「う〜ん、家族構成や貴族の位なんかだが…まぁ、見たほうが早いか」


マリアとカレンが俺に身体を預けて書類を覗き込み、俺は2人が見易い様に書類を持ち直す。


「へ〜何々?ケビン?あ〜あの太ってるヤツね、なんやアイツ、オスカー家の人間なん」


「オスカー家ですか中々大きい所ですね…」


「ふ〜ん有名なの?」


「せやな〜まあまあって所ちゃう?伯爵やし」


「パスト王国の中では中堅って所ですね、歴史もそれなり、領地もそれなり」


「へ〜だから貴族の誇りだのなんだのうるさいのか」


カレンが資料の一部を指差す。


「アイツ妹おるらしいで!しかも溺愛してるんやて!」


「溺愛か…つまりシスコン野郎って事か、これは良いネタだな」


俺は口角を上げてニヤリと笑う。


「マリア〜ウチらの旦那様が黒いで〜!エグいで〜」


「……ステキ///」


「え?マリアあれ、アリなん?」


「あの黒さ…最高じゃない!嫌なの?」


「いや別に嫌やないんやけど…まぁ、ええわ」


カレンは諦めた様に肩を落とした。


「まぁマリアの趣味は置いといといて、確かに知っといて損は無いな〜」


「だろ?だから情報は大事なんだよ」


「ふぁ〜、なんか文字読んでたら眠くなってきたで」


カレンは欠伸をしながら目を擦る。


「後は俺が起きてるから、そろそろ寝たら?」


「ふぁっ、そうやね、そうさせてもらうわ」


カレンがグラを抱えてテントの中に入る。


「それでは、私も先に休ませていただきますね」


「あぁ、おやすみマリア」


「えぇ、おやすみなさい、あなた」


マリアもテントに入り俺は資料を読みながら朝まで過ごした。



そして次の日、2日目の今日も訓練内容は昨日と同じ馬車引きだ。


当然、昨日の疲れが残っているが、あの剣のの力で精力を増大させているからか、何とか引けている状態だ。


ただ、倒れる者も多くなる。

だから、俺はアイツらの飲む水にハイポーションをこっそり混ぜて無理矢理回復させる。


「貴様ら!そんなペースだと1年かかっても王都には辿り着けんぞ!豚でもまだ早いぞ!今の貴様らは豚以下の屑野郎だ!もっと気合いを入れろ!」


俺は罵声を浴びせ気合いを入れさせる。

すると、騎士達の中の1人倒れた。


「うぁ、は…は…は…もう無理…」


「誰が休んで良いと言った!さぁ立て!」


倒れたのはケビン、ジルに絡んできたヤツだ。


「はぁ…はぁ…無理なんだよこんなの…死んじまうよ!」


「人はこの程度では死なん!ケビン!さぁ立て!立たんのなら…こうだ!」


俺はケビンにビンタをする。


「ぐっ、ぶふぇ!」


ケビンは軽く吹っ飛んだ、俺はケビンにゆっくり近づき、見下しながら喋る。


「そう言えば、貴様には妹がいたな、しかも、かなり可愛がっている様だな」


「違う!俺は妹を愛しているんだ!可愛がっているなんて、そんな低俗なレベルではない!」


ケビンは、あらん限りの力で叫ぶ。

俺は少し引き気味に問い掛ける。


「貴様の様な腰抜けが、いくら愛を叫ぼうと通じるはずがないだろう?貴様の愛はその程度のまがい物だ!」


「違う!僕の愛はまがい物じゃない!本物だ!」


ケビンは拳を握り締め立ち上がる。


「ならば、証明して見せろ!」


「うぉ〜〜!!愛してるヘレ〜〜ン!!」


ケビンは愛を叫びながら馬車に戻った。


その後、昨日と同じ様に夕方まで馬車を引き夕食を食べた後、騎士達は馬車で爆睡した。


夜、俺はマリアとカレンにこの世界では兄妹で結婚出来るのか聞いてみた。


「…まぁ、一応双方の合意があればパスト王国の中では出来ますけど…するのは貴族ぐらいで余り一般的では無いですよ」


「う〜ん、獣人族やったらアウトやで、まぁ一部血統の関係でする所もあるみたいやけどな」


一応、兄妹婚は合法らしい、良かった…ケビンを訓練の為とはいえ煽る形になってしまったから心配してしまった。


「なるほど…じゃあケビンはこの国の感覚だったら合法なんだな?」


「そうですね…まぁ、ちょっと異常ですが、貴族ですしね」


「せやな!人族やしな!」


「そうか…良かった…まぁ俺にはこの世界には家族はお前達だけだし、関係無いがな!」


俺はマリア、カレン、グラをギュ〜っと抱き締める。


「えぇ、私達は家族です!」


「せやで!ウチも家族や!」


「クー」


俺は夜空を見上げながら、この温もりを今度こそ無くさない様に…と思いながらかんじていた。


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