篭る前に…
ギルドマスター室から出て一階の買い取りカウンターに着く。
買い取りカウンターの職員にジルに言われた通り牙狼の素材を全部並べていく。
「ギルドマスターに言われた牙狼の素材だ、全部で53頭分ある、確認してくれ」
【無限収納】内に入れた魔物の死骸は【無限収納】の特性の一つ《空間分解》で皮と魔石と骨と牙やツノと肉と内臓に別けられる。
分解きた牙狼の毛皮や牙や骨や肉、内臓などを並べていく。
内臓は近くにあった綺麗そうな樽に流し込む。
職員が数人で鑑定している所に先ほどジルの部屋で一緒にいた職員の人が出てきた。
「ユウさん、こちらが今回の買い取り価格になります」
「まだ鑑定している様だが?」
「今回はギルドマスターがこの値段にするよう言われていますので」
そう言いながら出されたのは、金貨100枚だった。
俺はそれを数え終えると【無限収納】の中に収納し礼を言って外に出る。
「じゃあ、服を買いに行こうか」
「はい」「は〜い」
それから、3人で並んで歩きながら服飾店に行く。
服飾店に行く途中、カレンが気になった屋台で昼食を摂り、急ぐ必要も無いので3人でデートの様な感じでゆっくり歩きながら服飾店を目指す。
服飾店に着いてから、店内を見てみると沢山の服が並んでいるがどれも中古の様だ。
俺はデザインセンスが無いので何も言わ無いから好きな物を買って良いよ、と言うとキャッキャ言いながら楽しそうに選んでいた。
マリアの時は下着と生地しか買ってなかったからかマリアも楽しそうだ。
しばらくすると、選び終わったのか2人共5着づつ持って来た。
獣人用の服は無かった為カレンの服はシッポ穴を後からマリアが開けるらしい。
服は全部で金貨3枚だった、これで後は食材を買い込んでギルドに戻る。
ギルドに到着するとそのままいつもの部屋に向かう。
ドアを開け階段を下り闘技場に到着すると、そこでは1人ポールアックスを振り回している男がいた。
「仕事は良いのか?ジル」
「バカヤロ!こんな武器を貰ったら使ってみたくなるのが男ってもんだろう?」
オモチャを貰った子供みたいなキラキラした目をしながらジルがポールアックスを振り回す。
ビュン!ビュン!ビュン!
ジルがポールアックスを振るたびに風が起こる。
「流石だな、もう使いこなしてる」
「ふん!これだけ手に馴染む武器は初めてだぜ!……なぁ?出来ればもう一本作って貰えんか?」
「一本じゃ足り無いのか?」
「予備が欲しいんだよ、今回は一本じゃあ多分足り無い…」
「今まで持ってた武器はどうした?あるんならそれをベースに打ち直してやるよ」
すると、ジルは闘技場の隅に行き一本のポールアックスを持って来た。
「コレなんだが…何とかなるか?」
差し出されたそれは、刃からヒビが何本も入っていてとても実戦に耐えられそうに無い。
「これでも、岩竜の骨を使って造られていてかなり高かったんだぞ!」
「何をぶっ叩けばこうなるんだよ…」
「いや〜ロックタートルって亀の魔物なんだが、甲羅を叩いたらこの通り、ダメになった」
「は〜、まぁ良いや、素材は何か持ってる?」
「いや、持って無いな…」
「まじで?う〜んならこっちで何とかするよ」
素材も持ってないのに鍛治を頼む人初めてみた…ジルの無茶振りに呆れるもすでに俺の頭の中には提出してい無い牙王の素材がリストアップされていた。
「3日後に取りに来な」
「頼んだぜ!」
そう言いながらジルは、階段を上り戻って行った。
俺は、嫁さん2人に向き直る。
「それじゃあ、カレンはこの壁に飾ってある武器を振ってみて合う奴を選んで、マリアは防具のデザインを頼む」
「分かりました」「分ったで〜!」
そして俺たちはそれぞれの作業に取り掛かる。




