オーガに遭遇!いつ殺るの?今でしょう!
夢を見た、この感じはマリアの時と同じだ。
ただ違うのは、隣にいるのがカレンでその表情がうっとりしている事だ。
うっとりする様な映像じゃ無いはずだがカレンの表情は頬を赤らめている。
気になった俺は、カレンに問いかけた。
「カレン?どうした?そんな顔して?」
するとカレンは…
「ユウは、知らんかもしれんけど獣人族、特に虎人族にとって強さは旦那選びには重要なんやで〜」
「そうなのか…」
「当然やん!まぁ、ウチは強いだけの男も嫌やけど」
「強さだけじゃダメなのか?」
「ウチは、ウチを大事にしてくれる人やないとイヤや!高望みなんわ分かってる!けど、ウチはユウに出逢えた!ユウの強さは今見て分かったし、ホンニ惚れ惚れする戦いっぶりや///」
「ありがとう」
「ありがとうはこっちの台詞や、ウチを貰ってくれてホンニありがとう」
「せやけど、惚れ直したで!まるで英雄やん!」
カレンは映像を見ながら言う。
「ただ目の前で傷付く人を見たく無かっただけだよ、唯の自己満足だ」
本当に…何百何千何万と、命を奪い殺しただけの事だ、自分勝手な自己満足以外の何物でも無い。
「それでもや!ユウのおかげで救われた命もあったやん!」
カレンが指差すそこには、俺が助けた者たちの笑顔が映っていた。
「ユウは頑張ったやん!人の為に十分頑張ったやん!これからは好きに生きていいんよ?子供が欲しかったら好きなだけ作ってええし、嫁さん欲しかったら…ウチをちゃんと可愛がってくれるんやったら、何人でも作ってええよ!」
「あぁ、カレンの事は可愛がるよ」
俺は苦笑いをしながら答える。
しかし、マリアといいカレンといい俺が嫁を増やす事前提で話してくるんだが、俺はこの世界の結婚事情についてマリアにまだ聞いて無い事を思い出し、起きたら2人に尋ねてみようと思った。
俺たちが話終わると真っ暗だった部屋が光に包まれた、俺がこれで夢も終わりだろと思っていると頭の中に「魂の契約が完了しました〜」というアナウンスが流れながら光に包まれた。
「…んんっ!」
俺は目を覚ます。
「おはようございます、あなた」
「おはよう、マリア」
「おふぁよう、ユウ」
「あぁ、おはようカレン」
マリアの時もそうだったがやはり、初めては女性の負担が大きい様だ。
昨日の夜戦の内容は、序盤はカレンが血に飢えた獣の様に攻め立てて来てこちらは防戦一方だった、しかも途中からマリアとの息の合ったコンビプレーの波状攻撃に危機感を覚えた俺は本気になり超回復で粘り最終的に2人を倒す事ができた。
夫婦になった事でカレンは、俺の呼び方がユウに固定されマリアはあなたに固定となっている。
2人に理由を聞いたところ、カレンは呼びやすいから、マリアは夫婦と言ったらやっぱりこの呼び方らしい。
昨日は激戦だったが幸せだった…G級とF級をしかも美人と美少女を同時なんて、今までの世界じゃ考えられ無いことだ。
「っと、そうだった、忘れる前に…」
俺は【無限収納】からタブレットを取り出しカレンを撮影する。
カシャ!
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氏名 カレン・シンドー
種族 半神
年齢 20歳
職業 拳士
スキル
【無限収納】
技術
拳技・料理・狩り
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「カレンは拳士なんだ」
「ウチ、力には自信があるねん!ただ、デカイ魔物とかには意味無いんやけどね」
「そっか、なら帰ってから何か武器を作るよ」
「ありがとうな♪でも、ウチがハイビーストか…」
「イヤだった?」
「イヤやないねん!ただ、ハイビーストは獣人族にとっては伝説の存在やねん…まさかウチがそんな存在になれると思わへんかってん!」
「あ〜なるほどね。そう言えば身体に変化ない?」
「ん〜どうやろ?外で確かめて来るわ」
どうやら感覚ではあまり解ら無いようだ、カレンは手をグーパーと開いては閉じて頭を捻りベットから下りて立ち上がる。
「カレン!服着て服!」
マリアが慌ててカレンに服を渡そうとする、昨日の夜戦でそのまま力尽き3人とも裸だ。
「ええて、ここ、ウチら以外誰もおらんのやろう?」
「ダメですはしたない!これを着なさい!」
マリアは服の事になるとなかなか頑固だ、カレンに半ば無理矢理、前に何枚か作っていたネグリジェの様な服を着せていた。
「しゃ〜ないな♪これでええやろ?ほな行くで〜」
カレンは小走りに寝室を出て、トントントンと階段を下りていった。
俺とマリアは、カレンが部屋を出てからシャツと革パンを着て寝室を出た。
その後、マリアは朝食の用意をする為別れて俺はカレンの様子を見に玄関から外に出た。
「カレン、調子はどうだ?」
「あっ、ユウ〜!凄いで〜見て見て〜、ハッ!」
カレンが拳を振るとパン!と音がなり風圧で目の前の土が抉れた。
「凄い力や…でも、身体に慣れんと危ないわ〜」
どうやらマリアと比べると力が強い様だ多分種族の特性が出ているんだろうと思う。
カレンが無邪気な笑顔で拳を振り蹴りを放つと目の前の景色が綺麗な草原だったのが、見るも無残な光景に変わっていた。
「そりゃ良かった、じゃあそろそろ朝食にしよっか、マリアが用意してるだろうし」
「わかった〜ほな行こか」
カレンが俺の腕に抱き付き2人で家に入る。
家に入るとマリアが朝食の準備を済ませていた。
準備と言っても【無限収納】から料理を取り出すだけだが…マリアやカレンの【無限収納】だが、どうやら俺の【無限収納】と繋がっているらしく俺の【無限収納】の出し入れ口がマリアとカレン用に増えただけみたいだ。
「それじゃあ、食べようか」
「「はい」」
それから俺たちは、朝食を食べて風呂に入り仕度を済ませて《隔離結界》を解き坑道を歩き外に出る。
外に出てまず、邪魔にならない所に穴を掘った。
奴隷の遺体を火葬する為だ。
掘った穴に遺体を入れて、引火性の油を流し込む、油を十分に入れた後マッチで火をつける。
「みんな、安らかに眠りや…」
カレンが目を瞑り小声で、そう呟いた。
俺たちは、火が消えるまでその光景を眺めていた。
火が消えて穴を埋めて俺たちはジョージの街を目指す。
俺たちがジョージの街に向かって歩いていると突然横合いから大きな影が飛び込んできた。
俺たちが後ろに飛びながら確認するとその後から4つの影が躍り出てきた。
俺は目に神気を集めて最初に出てきたものを確認する。
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ブラットオーガ
危険度Aランク
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ついでに他の奴も見る。
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オーガ
危険度Bランク
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らしい。
普通にマリア一人でも倒せるがカレンの為にも俺がやろう。
「俺が殺るよ…」
俺が前に出て剣を抜く。
「ユウ〜アレ使ってアレ!」
と、カレンがリクエストする。
「アレって?」
マリアが理解できないかおで聞いてきた。
「多分《紫電》の事だろう、夢の中で興味深いって目で見てたし」
「そう、それやそれ!見せて見せて!」
「しょうが無いな、じゃあよく見てろよ!」
俺は脚に魔力を集める。
《紫電》とは《魔装術》の移動法の極みで、魔力を脚に集めて移動し通った後に紫電が走るのでそう呼ばれていた技だ。
俺は正面からオーガ達に突っ込むブラットオーガは相手にせず、先に後ろのオーガを斬る。
どのオーガもすれ違いざまに軽く剣を一振りすると頭と胴体が泣き別れし、俺が通り過ぎた後には血の噴水が4つ出来ていた。
キン!
そして俺は鞘に剣を収めブラットオーガと向き合う、ブラットオーガは完全に怒り狂い右の拳を振り下ろす
。
ブラットオーガは体長約4メートル程の大きさで他のオーガと比べると一回り程大きい。
俺は振り下ろされる拳を片手で受け止める。
「…この程度か?」
「ゴアァァァ!!」
ブラットオーガは狂った様に俺に拳を打ち込む、それを俺は全て左手で受け止める。
ふと、打ち込みが止まり俺がブラットオーガの顔を見る。
そこには、信じられないものを見る様な顔のブラットオーガが腕をダラリと下げていた。
よく見ると肩で息をして疲れ切っている様だ。
「もう良いのか?…ならこれでサヨナラだ!」
俺はブラットオーガの後ろに回り込み首に手をかけ…。
ゴキッ!
という音がなり首の骨が折れたブラットオーガはそのまま前のめりに倒れて絶命した。
その後、オーガ達の死骸を回収し、ジョージの街を目指した。




