マリアの訓練〜実戦・後編
2人で地を駆ける。
俺はマリアの訓練の為に剣を抜かず素手で戦う。
基本はマリアのサポートに徹している。
「はぁ!」
マリアは、まず魔剣の能力である風の刃を飛ばし一頭の牙狼の首を切り落とす。
襲われると思っていなかったのか、牙狼達は慌てて戦闘体勢になる。
牙狼達が戦闘体勢になった頃にはマリアが牙狼に肉薄していた。
「はぁ!」
マリアが魔剣を一振りする、マリアの魔剣が吸い込まれる様に振り下ろされ牙狼の首を断ち切る。
「ふっ!」
ギャン!ガァァ!と牙狼が鳴く。
マリアは振り下ろした姿勢から勢いをそのままに一回転し次の牙狼を斬りつける。
「はっ!ふっ!はぁ!」
マリアはそのまま止まる事なく牙狼を斬り続ける回転の力を利用してマリアの斬るスピードはどんどん速くなる。
牙狼達の断末魔が辺りに響き渡る。
その間俺は、マリアの邪魔になりそうな牙狼だけを素手で撲殺した。
それから、どれくらいの時間が経っただろう、マリアはあのままどんどんスピードを上げ牙狼達を斬り殺し、今立っているのは俺とマリアと牙王の2人と一頭だけだった。
俺も多少は手を出したがほぼマリアが斬り殺した。
今は、一対一で牙王と睨み合っている。
俺はマリアが屠った牙狼達の亡骸を【無限収納】に収納していた。
先に動いたのは牙王だった、姿勢を低くして滑る様にマリアに接近する。
マリアは魔剣から風の刃を飛ばしたが牙王に躱されてしまう。
ガァァァ!
牙王が吠えながらマリアを咬み殺そうと口を開く。
「終わりです!!」
マリアは左手に持った魔剣を牙王の口の中に突き刺し、右手の魔剣を脳天から突き刺した。
刺された牙王が力尽きると、マリアはその場にヘナヘナと座り込み放心状態のようだ。
まぁ無理もない…。
「少し休憩しなよ」
そう言いながら、俺はスポーツドリンクの入ったペットボトルを渡す。
「ふぅ〜、ありがとう、あっ」
ペットボトルを受け取ろうとしたマリアの手は震えてまともに掴めないらしく落としてしまった。
「おっと!」
地面に落ちる寸前で俺が掴み拾うとフタを開けてやり両手でしっかりと持たせる。
「落ち着いて、ゆっくりでいいから」
「あ、ありがとうございます///」
マリアは照れながらもゆっくりスポーツドリンクを飲んで、一息ついていた。
それから30分程休息を摂り、鉱山の方へ移動した。
それから、鉱山の中に入った。
今回の目的はマリアに実戦経験を積ませる事だが、折角鉱山まで来たし神剣や聖剣製作で消費したオリハルコンやミスリルなどを補充したい。
俺は目に神気を集めながら進んで行く。
坑道を進んでいると、オリハルコンやミスリル等の希少金属の鉱石がゴロゴロ道端に落ちていた。
鉱石を収納しながら進んで行くと大きめの部屋に出た。
そこには、10体の死体か並んでいた。
ボロボロの布を纏ったその死体にはマリアに付いていたものと同じ奴隷の印が付いていた。
「これは…もしかして…」
「はい…この衣服の布は同じ主人の奴隷の印です、奴隷の衣服は主人が賄うモノなので間違いありません」
予想通り、マリアと同じ様にオーク集落討伐に行った奴隷のようだ。
「この人達を弔ってあげたいんですが、良いですか?」
「あぁ…外で焼いて弔おう」
「ありがとうございます…」
俺は死体を【無限収納】に入れて、まだ先に誰か居るかもしれないので先に進んだ。
それから100メートル程進んだ所で坑道は行き止まりになった。
行き止まりは先程の部屋より少し小さくその中に入ると小さなマリアより少し小さい女の子が居た。
「…!カレン!」
どうやらマリアの知り合いの様だ。