チュートリアル
モンスターの分隊制度はいったんやめて最初の待機部屋を
スケルトン達でいっぱいにしてある。
それに対して逃げるのか、あっさり倒して進んでくるのかで
どの新しいモンスターを召還するか決めようと思っていた。
逃げるなら弓を使えるレッドキャップ。
クワであっさりスケルトンを倒せるならストーンマンといった感じだ。
だが村人の二人はのろのろとクワを構えて
モンスターなどいないかのようにまっすぐ部屋を進もうとする。
もちろんそれを許すスケルトン達ではないので
2度3度と槍でついて攻撃する。
手足どころか顔の肉をえぐられても歩く速度が変わらない。
ほほが思いっきりえぐれているので見ていて気持ち悪いが
我慢して顔をよく見てみる。目がうつろだ。
本物は見たことがないが夢遊病の患者が
歩いていたらあんな顔をしているのだろうか?
スケルトンの武器はしょせん木でできた槍だ。
一撃で人を殺せたりはしない。
だが複数で何度も刺すのだ。
攻撃し始めてすぐに片方の腹が裂けて内臓がごろっと飛び出して
きて崩れ落ちるように倒れた。
もう一人にも目に勢い良く槍が突き刺さりそのまま脳に達したのだろう。
後頭部を強打する勢いで後ろに倒れそのままビクビクと痙攣している。
倒れた後もスケルトン達は攻撃を続けている
しばらくすると人間の死体もモンスターと同じように光となって消えてしまう。
ただ穴だらけの服とズボン、クワはそのまま残っている。
服には血の一滴もついていない。
そのそれを確認したとたん脳内映像は途切れてしまう。
戦闘時しかでないのだ。
もしかしたらポケットの中などには何か使えるものが残っているかもしれない。
面倒だが村人たちの死んだ部屋に行って調べてみよう。
残念ながらそもそもポケットがなかった。
服もごわごわの上穴だらけだ。
Tシャツと交換したいとはさすがに思わない。
クワ2本が初めての戦利品ということになるのだろう。
クワを肩に担ぎ途中から後ろをついてきていたコボルトの一匹に
適当に外に穴を掘り服などは埋めてしまうように命令する。
やたらにクワが重いのでスケルトンに装備させたら
もしかしたら今の木の槍より強いかもしれない。
そう思うと人を殺したばかりなのになんだかわらえてきた。
スケルトン農兵バージョンなどとくだらないこと考えていると
コボルトによる敵襲警報の遠吠えが聞こえてきた。
今までは玉座に座りなおさないとモンスターが侵入しては
こなかったので油断した。
罠の設置か人間狩りかでおそらくシステムが変わった。
いや、チュートリアルが終了したのだろう。
クワを道の途中に放り投げると全力疾走で玉座に戻る。
こういう時はいくら走っても呼吸がないため息が切れない
この死人のような体は役に立つ。
脳内映像で慌てて確認すると驚きの映像が飛び込んできた。
服を埋めに行くよう命令したコボルトが敵モンスターの口の中で
グチャグチャと服ごと咀嚼されているのはいい。
門番役のコボルトも一匹片足をもがれて転がっている。
だがそれを行っているモンスターがハイイロオオカミだということだ。
ゲームではハイイロオオカミなんてモンスターは出てこない。
このダンジョンの前に広がる森に自生しているモンスターなのだろう。
レベル2が5匹にリーダーなのであろう
サイズもちょっと大きい≪狡猾な≫ハイイロオオカミがレベル4だ。
≪狡猾な≫の肩書は戦闘での奇襲率が増加するはずだ。
これからは突然の襲撃や連続での襲撃があり得る。
ダンジョンの大幅な改修が必要だろう。
24時間ただ玉座に座っているなんてまっぴらだ。
罠とモンスターを組み合わせて俺が玉座に駆けつける頃には
戦闘が終わっているくらいが理想だ。
正直おもしろくなってきやがった。
このクソオオカミどもをさっさとかたずけて
ダンジョンの改修計画を立てるとしよう。退屈している時間は終わったんだ!
当面はこれぐらいの短い話ばかり投稿するとおもいます。
落ち着いたら話の結合などもしていきます。