外と中
試しにコボルトの一匹に命令してみる。
30メートルほど先にある木の周りを一周して戻って来いと。
コボルトはあっさりダンジョンの外に出ると勢いよく駆け出し木の周り
をむだに3周ほどしてもどってくる。
キラキラした目で上目づかいにこっちをみてくるので、
子供の頃飼っていた雑種の犬のように全力で撫でまわしてやる。
よーしえらいぞーと適当なことを言いながら考えをまとめ始める。
モンスター達が外に出れるのは間違いない。
なら人型の知性ある高位モンスターなら変装させたりすれば
町に行って買い物などもさせられるだろう。
まだ起きて数時間といってところだ。睡眠欲があるのかは確認できないが、
腹が全く減ってこないしおそらくだが食欲自体がない。
食べ物が必要ないのは今はありがたいことだ。
だが脳内でちょっとエロい妄想をしてみればマイサンは勢いよくたちあがる。
性欲は間違いなくもとのままだ。
以前ならパソコンを使ってエロサイトめぐりをしつつ処理するのだが
この何もないダンジョンでそれは不可能だ。
召喚だ。ラミアやハーピーといった女型のモンスター達は、
ちょっとゲームを進めていけば召喚出来るようになるはず。
それらを召還できるようにし維持していくためにもダンジョンを拡張し
侵入してくるものを退治したり捕らえていかなくてはならない。
それに高位モンスターであるサキュバスやレディーバンパイアといった
一見人間にしか見えないモンスターも召喚用魔方陣を設置すれば呼べるのだ。
寝る必要が無くてもベットは絶対に必要だ。エロスの神もそういっている。
それに服だ。寝る前に着ていた首回りのビロビロに伸びたTシャツと
汚いスエットのままでは捕らえた美人冒険者の前には
なさけなくて姿をあらわすこともできないだろう。
自分には必要ないにしても人を捕らえたら最低限の食事もいるだろう。
なにより捕らえた冒険者に玉座(手作り感満載)を見られ笑われたら
この臨戦状態のマイサンも一瞬で降伏してしまうだろう。
ゲーム序盤ではそもそも野良モンスター以外はダンジョンには来ないはずだ。
しばらくして村人、冒険者、戦士団、上位冒険者、騎士団とランクアップする。
戦士団くらいまでは牢屋も作らなくていいだろう。
捕らえてしばらくすると確率で手下になるはずだが役に立たないし
魔力の消費量も上がってしまう。
当面はまじめにダンジョン拡張と戦力アップに努めるべきだろう。
エロース的なごほうびはその後だ。
考えをまとめおわり撫でまわし続けていたコボルトをみてみると
よだれをたらしぶんぶんと振っていた尻尾はだらしなく垂れ下がっている。
完全にアヘ顔さらしてやがった。
コボルト達にはダンジョン内の小部屋作りの補助と入口の警備を命じ
取りあえず玉座(売価千円以下)のある部屋まで戻ろうと思う。
途中のゴブリン部屋ではゴブリンが居眠りしてやがった。
さっきの笑顔は何だったんだまったく。