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43/reboot  作者: 煌洲 桜子
番外編
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懺悔

 お久しぶりです。私のこと覚えてらっしゃいますか?以前、お会いした高田苺花です。

 あれから体調も精神的にもだいぶ安定して、今では一人暮らしをしながら以前入院していた精神科に通っていました。

 実はあれからいろいろと伊東先生とお話したいこと、謝りたいことが沢山あったんです。

 最初にお会いした時、とてもびっくりなさったでしょう?本当にあの時は申し訳ありませんでした。

 あの時はあの世界に大人を近づけないようにするために、わざと嘘をついたんです・・・。伊東先生も気にしてらっしゃったんですか?それは、もう本当になんとお詫びをしていいのか・・・。

 本当にあの時はどうかしてました・・・。親が、大人が怖くて、汚く見えて、自分はずっと子供のままで、狭い世界で生きていたいと思ってました。子供たちの命を犠牲にして、自分の理想の世界で生きるなんて、本当に身勝手ですよね。

 伊東先生達がいらっしゃった時も、相手が『大人』というだけで怖くて憎くて、本当に・・・すいませんでした。

 だけど、あの世界に居た三沢くん、遥香ちゃん、そして不思議な神様のおかげで目を覚ますことができました。

 そういえば、最近私が働いている支援施設のカフェで三沢くんと遥香ちゃんが遊びに来てくれました。

 私、嬉しくて嬉しくて、子供たちが元気に生きてる姿を見て、本当によかったって思いました。

 ところで、三沢くんと遥香ちゃんに私の働いている場所を伊東先生がお教えしたんですか?え?ああ、あの背の高い男性の方が教えたんですね。

 あ、伊東先生、そんなに落ち込まないでください。あの先生のおかげで三沢くんと遥香ちゃんに会えて、本当に嬉しかったんです。

 私はあの子達と現実で会うまで、ずっと自分を責めて、毎日後悔して泣いて、時には亡くなった子に少しでも報おうと、自分の体をカミソリで切っていました。

 人殺しの罪を背負って、生きていくのは本当に辛くて・・・。私の身勝手なせいで亡くなった子供たちを思うと、息が苦しくて、いつも重荷を背負って地を這いつくばって真っ暗な苦しみの中で生きていました。

 実は、耐え切れなくて首を吊ろうとしたこともあったんです。でも、息ができなくて痛くて怖くてできませんでした・・・。情けないですよね。

 その時は自分だけがのうのうと生きてるのが自分でも許せなかったんです。自分を殺して罪を贖えるなら、何度でも死んでも構わないと思ってました。

 だけど、あの子達に会えて、あの子達に元気付けられて、あの時ほど、私は生きててよかったと心の底から思えました。本当に、生きててくれてよかった・・・。

 伊東先生、あの子達を助けてくださってありがとうございました。お礼が遅くなってしまってすいませんでした。

  それから、マユ・・・稲村米子さんは今、元気にしてらっしゃいますか?ああ、そうなんですか!あの人は・・・幸せになれたんですね。良かった・・・。稲村さんには酷いことをしてしまったので、お詫びをしたかったのですが、きっと彼女は私に会ったらまた嫌なことを思い出してしまうでしょうね・・・。私は、彼女と似たような、というより、PUCSになる前に父からそういった行為を受けていたので、本当は稲村さんの辛い気持ちがよくわかっていました。だから本当に、稲村さんのあの清らかな恋が実を結んで本当に良かった・・・。

 私・・・これからは辛くても苦しくても、毎日死んだ子供たちに祈りを捧げて、一生償っていきます。

 実は最近、昔のGM達と集まることにしたんです。みんな、近況を話して苦しみをわかちあったり、死んだ彼らにどう償おうかと話しあったり、GMの中には出家した人やお遍路に出た人も居たそうです。

 ところで、GMの中でも、繊細で心の弱い子が居たんです・・・。その子はあの世界で牙王と名乗って、現実の世界の自分の弱さを埋めようと必死で頑張っていた子でした。だけど、私があの世界を壊してしまって以来、その子は自殺したと仲間から聞きました。


 『ずっと僕は強いままでいたい。』


 そうメモに書いて飛び降りたそうです・・・。

 私は、彼がそうなる前に、どうにかして彼の居場所を作ってあげたり、苦しみを分かち合って、彼が自殺しないで済むように彼を探して止めていられればと後悔しています・・・。

 私のせいで亡くなってしまった子供たちや、自殺してしまった彼の為に改心して仏教でもキリスト教でもヒンドゥー教でも、どの神様や仏様にでもあの子達の魂が安らかであるよう祈りたいんです・・・・。

 だけど、悪魔にとり憑かれた私が神に祈る資格はないんです。ただ、毎日、神や仏でもなく、あの子達自身に祈りを捧げ、時間がある時はお墓参りもしています。

 これからGMのみんなもお金を貯めて、各地の子供たちのお墓に行くと言っていました。

 それでも・・・やっぱり私はまだ身勝手なんです・・・。子供たちの命を奪った、悪いあの男を恨むことができないんです。

 男性が怖かった私の心を優しく包み込んでくれて、いつもあの男の人の前ではいつの間にか素直で無邪気な自分で居られました・・・。

 本当に・・・おかしくてバカで自分勝手ですよね・・・。今でも、ずっと・・・私はあの人の事を愛しているんです・・・。

 私や私達のような電気療法で目覚めた子供たちを虜にして自分の思うように動かすために甘く囁いた悪い男なのに、いまだに憎めいないんです。

 バカな女ですよね・・・。あんな悪い男なのに、どうしても嫌いになれないんです。

 伊東先生・・・、私はこれからもあの人のことを愛し続けてしまうかもしれません・・・。

 これも、もしかしたら私に与えられた罰なんでしょうね。ふふ、おかしいですよね、愛の形をした罰なんて・・・。

メリッサ(苺花)の一人語り風に書いてみました。

愛とは、恋とは、人を愚かにしてしまうものです。

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