たけのこ
野郎三人の成長の記録
PUCSから目覚めた僕は、それからもとのチビデブに戻ってしまい、リハビリしても痩せる気配がなかった。
僕は痩せない自分に落ち込んで、屋上の片隅でいじけていた。
そこへ、岩見先生がやってきた。
「おう、裕也、どうした?」
あんなにスタイルよくて背の高い人に僕の悩みを言ったって、きっと笑われるだけだと思って口をつぐんだ。
「おいおい、なんだよ、あん時の威勢はどこいったんだよ?」
そう言って、僕の横にしゃがんでヤンキー座りしていた。僕はしばらく岩見先生をじっと見ながら質問してみた。
「どうしたら先生みたいに背が高くなるんですか・・・?」
正直岩見先生の背の高さが羨ましかった。
そうしたら僕の質問に思わず岩見先生が吹き出した。こんなことなら言わなきゃ良かったとうずくまろうとしたら、岩見先生が笑いながら背中を叩く。
「なんだ、そんなことかよ!そんなの勝手に背が伸びたんだからしょうがねぇだろ?」
やっぱり岩見先生に相談した自分が間違っていたと思い、僕はさらに落ち込む。そこへ、お腹を揺らしながら息を切らして岩見先生を探す豊平先生が居た。
「あー!岩見先生!早くサボってないで会議室に来てくださいよぅ。」
豊平先生は困った顔をしていたが、岩見先生は意に介さずケタケタ笑っている。
「いやー、裕也がさ、どうやったら背が伸びんのか聞いてきてさー。」
「僕も岩見先生みたいに背が伸びる方法があるんなら聞きたいですよぅ。」
豊平先生は、岩見先生がサボっていることと、僕と同じように豊平先生も身長のことで気にしているせいか、若干怒っているようだった。
「あーそういえば、俺も中房ん時は裕也みたいにぽっちゃりしてたなぁ。」
「え?そうなんですか?」
「うん、で、なんかいつの間にか背が伸びてた。」
本当に岩見先生の答えは単純明快すぎる。すると僕と豊平先生が岩見先生の言ってる事が信じられないという疑いの視線を感じたのか、岩見先生は自分のスマートフォンを取り出してどこかへ電話していた。
「あ、カーチャン、俺の中学入学と卒業の時の写真、送ってくんね?」
そう用件を伝えると、すぐさまメールが届いた。僕と豊平先生は興味津々で岩見先生の中学生の頃の写真を見せてもらった。
「これが、入学式・・・、で、これが卒業式。」
校門の前の立て看板に立っている人物は同じ岩見先生なのに、僕らはその違いに驚いてしまった。
岩見先生が中学に入学した時は、僕のようにデブで背が低くて、校門の立て看板の半分くらいの背丈しかなかった。だけど、卒業式では立て看板と同じくらいの背になって、しかもスマートになっていた。
「岩見先生、この写真、加工してないですよね?」
「加工もなにも、うちのカーチャンがそんな器用なことができるかっ!」
豊平先生と岩見先生の言い合いを聞きながら、岩見先生にも僕みたいな時期があったんだな、と思うとちょっと近親感が湧いた。
「ところで豊平、お前の中房んときの写真は?」
「僕のですか?今から送って貰いますね。」
そう言って豊平先生も実家に電話を掛けているみたいだ。
「あ、ママ、僕の中学生の時の・・・お、お姉ちゃん・・・!」
急に豊平先生の顔が真っ青になって、背筋を丸めながら僕らに背を向け、できるだけ遠くに言って電話しながらペコペコ謝っている。
「あいつ、女慣れしてないんじゃなくて、優しい女に慣れてなかったんだな。」
「どういうことですか?」
「ほら、見ろよ。電話に自分の姉貴が出ただけで顔色真っ青にしてペコペコ謝ってんだろ?相当怖い姉貴の下でこき使われてきたんだろうなぁ・・・。そりゃVRIにハマるわけだ。」
岩見先生は同情するような眼差しで豊平先生を見ていた。
やがて豊平先生が戻ってきて、写真を見せてもらえた。僕と岩見先生はその写真を見て驚いた。
そこには華奢でサラサラの髪をなびかせる爽やかな少年が入学式の立て看板の前に立っていた。そして、卒業式の立て看板には、その少年を横に伸ばしたような人物が映っていた。
岩見先生も僕も絶句した。
「ど、どうしたんですか?」
「いや・・・聞いた俺が悪かった。今から会議室に行こう、な。」
「あ、そうでしたよ!」
そう言ってわざと岩見先生は話題を逸らして、豊平先生と一緒に屋上から去って行った。
取り残された僕は青い空を見上げながら、あの二人が中学校入学の時は真逆だったことを思い出して、思わずニヤニヤが止まらなかった。
豊平先生の奴隷体質の原因が明らかになりました。
それにしても対照的な岩見先生と豊平先生は、中学校入学時も対照的だったようです。
ところで、自分の同級生の男の子にも、中学時代はぽっちゃり小柄→高校時代は細身の8等身に成長している人が居ました。あと噂によると、成長期のおかげで高校デビューしてモテまくりだったとか・・・。




