表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/reboot  作者: 煌洲 桜子
43/restart
75/86

ヘアピンと本

ネ申はなぜヘアピンで高炉の南京錠を開けたのか?

 トーマスが、悪魔がアカシックレコードを模した『ベルセポネオンライン』へと向かう途中のことだった。

 あらかじめタルタロスの地下を確認していたのに、肝心の高炉を開ける南京錠の鍵を用意するのを忘れていた。

 今から戻るのも時間が掛かるしなどと考えていると、セーラー服を着たセミロングの少女が暗闇の中で倒れていた。

 彼女は前髪をヘアピンで止めていた。トーマスはこの少女を見て、このヘアピンがあれば高炉の南京錠を開けることができるだろうと少女の髪へ手を伸ばそうとしたが、ふいに手を止めた。


 「これは勝手に持っていったらまずいよなぁ・・・。なんか物々交換できるものないかな?」


 そう言いながらトーマスは周りを見渡し、自分の一枚布の中を見るが、何も入っていない。

 おそらく少女は死ぬ運命にあるとはわかりながら、死者から勝手に物を奪うのはトーマスにとって忍びなかった。

 ふと、トーマスは思いついてアカシックレコードの扉まで戻った。


 「あら?お帰りなさい。早かったのね。」


 イヴが不思議そうに息を切らすトーマスを見つめる。


 「イヴ、急いで彼女の『本』を持ってきてくれ!」


 慌てているトーマスの姿を見て、イヴは急いで少女の『本』を探した。やがてトーマスの元へ戻り、2冊の本を手渡した。

 トーマスは2冊の本を見比べ、比較的厚い方の本を選んだ。


 「イヴ、ありがとう!この本は戻しておいて。」


 そう言うやいなや、イヴが文句を言う前にトーマスは扉を勢い良く閉めた。

 そして、少女の元へ駆け寄る。少女の本は、ところどころ虫食いの穴だらけで、最後のページがこの場所で終わりになっていた。

 トーマスは少女の側にそっとその本を置いた。


 「物々交換をしよう。君はそのヘアピン、私は君の人生が綴られた本を交換しよう。」


 そう言って、ずっと眠り続ける少女のヘアピンをそっと外した。


 「この本は、きっと君の来世で役に立つだろう。」


 そして、ヘアピンを持ってベルセポネオンラインに向かおうとしたが、足が立ち止まった。少女の手にはロザリオが握られていたのを思い出したのだ。

 もう一度、少女の側へ駆け寄り、少女の前で両膝をついて、その本のもう一つの重要な役割を教えた。


 「もしまだ私の声が聞こえているとしたら、重要だから聞いてほしい。もし、君が会いたい人、側に居たい人が居れば、その本に強く願ってみてごらん。もしかしたら願いが叶うかもしれない。」


 そうトーマスは言って、立ち上がって急いでベルセポネオンラインへ向かった。


 それからベルセポネオンラインでタルタロスの地下に閉じ込められたエクソシスト達の魂を開放し、アカシックレコードへ戻ろうと暗闇の道を通っていた。

 そこにはもう少女は居らず、本だけが残されたいた。トーマスはその本を拾う。ふと、トーマスは拾った本の重さに気が付き、とても嬉しそうにしていた。

 そして、アカシックレコードの扉を開き、イヴに先ほどの本を渡した。


 「この本、結局何に使ったの?」


 イヴはしつこく聞いてくる。


 「御託はいいから早く本棚に戻してきてくれ。」

 「まったく、人使いが荒いんだからぁ・・・。」


 イヴはトーマスに文句を言いながら本棚に受け取った本を戻そうとした。


 「なにこれ、さっきは入ってたのに、なんで入らないのよっ!」


 イヴは先程取り出した本棚に同じ本を戻しているはずなのに、なぜか本が入らなかった。どうやらトーマスが持っていった本は、ページ数が異常に増えていたようだ。

 イヴは仕方なく、何冊かの本を床に捨て、トーマスから受け取った本を無理やり本棚に押し込んだ。

 イヴが床に捨てた本の中には、『ベルセポネオンライン・リータ』と書かれていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ