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43/reboot  作者: 煌洲 桜子
43/reboot
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43/隠された秘密

前回のパートが長くなりそうだったので、今回は分割しました。

RPGパートを楽しみにしていた皆様、申し訳ございません。

 「猫だよな。」

 「どこからどう見ても猫ですね。」


 岩見とイトマキはフォルダの中の画像を何度も何度も見る。しかしどこにも命を狙われるような内容など見つからなかった。


 「はっはっは・・・。なんだ、USB間違ってただけじゃん?」


 岩見は乾いた笑いをあげる。しかし本当は怖かったのか、安心した拍子に足がガクガク震えている。

 イトマキもほっと安心した様子で、豊平に声をかけた。


 「豊平先生、もうこちらを向いてもらっても大丈夫ですよ。」


 イトマキに言われて、目を腫らして鼻を真っ赤にした豊平がおずおずと振り返る。そして折りたたみ椅子を持ってイトマキたちの側に移動した。


 「本当だ。猫ちゃんたちの写真ばっかりですね。」


 豊平はほのぼのとした表情で写真に見入っていたが、ふと急にその目が険しくなった。


 「なんでこの拡張子なんだろう・・・。」


 豊平がそうつぶやくので岩見とイトマキは写真の拡張子を確認する。言われてみればどれも見覚えのない拡張子ばかりだった。


 「普通の写真なら、pngがjpgの拡張子のはずなんですよ。でもこれ、A社の画像ソフト専用の拡張子です。イトマキ先生、ちょっとソフトを落としていいですか?」


 豊平のあまりのきびきびとした行動にイトマキは驚いていた。


 「豊平はもともとこういうのが得意なんだよ。自分で絵なんか書いたりして同人サイトに」

 「岩見先生、ちょっとやめてくださいよー!」


 岩見の言葉に豊平はまたいつもの調子に戻っていた。

 そしてその間に画像編集アプリの無料体験版のダウンロードが終わった。

 再び豊平は真剣な目で画像編集アプリを開き、USBの画像を画像編集ソフトを通じて開いた。

 画像編集アプリの左側には画像を加工したりするツールバー、画面中央は画像と画像を編集する編集領域、そして右側にも画像を加工したりするコントロールパネルがある。

 画像編集アプリの画面の大部分を占める画像の編集領域には、先ほど見た猫の写真が一枚あるだけだった。


 「・・・なんも変わってねーじゃん。」

 「それを今から説明しますね。」


 机に顎を乗せながら、岩見は豊平がPCを操作しているのをぼんやり眺めていた。

 そして、豊平が説明を始める。

 画像編集アプリというのは、一見すると1枚の絵に見えるものでも、実はレイヤーと呼ばれる一部分の絵が何枚も重なって、1枚の絵に見えるようにする使い方がある。


 「つまり、この写真も1枚の写真に見えるんですけど、実はレイヤーが重なってる可能性があるんです。そして、レイヤーには、不要な部分を隠す機能もあるんです。」


 そう言って、画像編集アプリの右側のコントロールパネルの下のあたりを指で示してみせた。

 そこには、小さい長方形のものが連なっていた。そして、長方形の部分がレイヤーにあたる。

 レイヤーの一つ目には小さく縮小された猫の画像、そしてその下のレイヤーには何やら別の画像が入っている。しかし、編集領域ではその別の画像は見えていない。


 「この下のレイヤー、実は今隠されてる状態になっているんです。今から、猫の写真と入れ替えにこの隠れた画像を表示させますね。」


 そう言って豊平がPCを操作する。すると猫の画像は消えて、現れたのはグラフだった。


 「なんだこれ・・・。」


 岩見の額に冷たい汗が伝う。

 そこには、PUCSの患者数の推移と、自衛隊の徴兵数の載ったグラフが映しだされていた。

 2011年からPUCSの患者数が増え始め増え、2030年には一時減少している。

 そして高校の義務教育化に合わせて自衛隊の徴兵制が始まった2016年から2028年までは徴兵志願者は横ばいか減少傾向にあったが、2030年からは徴兵志願者が徐々に増えている。


 「思い出しました・・・。3年前、自衛隊に徴兵志願すればPUCSにならないって、どこかの巨大掲示板で噂になってたんですよ。」


 豊平はグラフを見ながらその3年前に掲示板を騒がせた話と、PUCSの患者数が妙に合致していることに気がついたようだった。

 そして豊平は次々と写真を開いて隠されている画像を表示していく。

 そこには2030年の新聞記事で、就任した防衛省の面々の中のひとり、防衛官房副大臣の藤枝智ふじえだ さとるの部分が丸で囲われている。


 「藤枝って・・・今総理大臣やってる藤枝のことだよな。」


 岩見の言葉に、イトマキも豊平も頷く。


 「でもなんで、3年前の記事の、副大臣の藤枝智に丸がしてあるんでしょうね?」

 「確かにそうだよな・・・。普通、こういう場合、大臣に丸がしてあったりしそうだような。」


 イトマキと岩見がお互いに防衛官房副大臣だった頃の藤枝に丸がしてあることに疑問を投げかける。


 「もしかして、稲村さんはPUCSと藤枝総理に関連性があると思っていたんじゃないんでしょうか・・・。」


 そういって、最初のグラフを豊平は表示する。


 「このグラフ、藤枝が官房副長官を務めた2030から2033年の今までの間に、徐々にPUCSの患者数が減ってきているんです。」


 岩見とイトマキは豊平の説に頷く。


 「米子ちゃんは藤枝総理とPUCSの関係に気がついたとして・・・。藤枝総理がいるからPUCSが減ってきてるなら万々歳だよな?」

 「ですよね。なのにどうして命を狙われなくちゃいけないんでしょうか・・・。」


 岩見とイトマキはグラフを凝視しながら考えている。


 「もしかして、藤枝総理にとってPUCSとの関係がバレちゃまずいんじゃ・・・。」


 ここへ来て、ようやく3人は稲村が見つけたものが命を狙われるほど危ない代物だということに気がついた。


 「藤枝総理とPUCSの因果関係はわからんが、政府としてはバレちゃまずい何かがあるってことなんだろう・・・。」


 3人はやはり稲村の警告通り、USBは見るべきではなかったと後悔した。


 「どどどどどどうしましょう?」


 豊平は完全に血の気が引いている。


 「お、お前が今まで大切に持っててもわからなかったんだからさ、き、きっと大丈夫じゃ・・・ね?」


 言葉とは裏腹に岩見の恐怖からくる貧乏揺すりが止まらない。

 イトマキの診察室はしんと静まり返った。


 「やっぱ、捨てとくか・・・。」


 岩見が静寂を破った。


 「どこにですか?」

 「なるべく迷惑のかからないところに、だ。」


 そう言って岩見は豊平に画像をもとの猫の写真に戻すよう指示して、USBメモリを外して預かった。それから岩見は、イトマキと島松の部屋を仕切るカーテンの奥へ消え、それからコソコソと戻ってきた。


 「どこに捨てたんですか?」


 帰ってきた岩見に、イトマキが問いかけると、岩見がニヤリと答える。


 「島松の部屋のゴミ箱ん中」


 イトマキと豊平は顔を合わせて、いいのか良くないのか複雑な表情をしていた。


 「万が一、島松先生が見たりしないですか?」

 「大丈夫だよ、あれには愛の鍵がかかってるからな。」


 心配そうにする豊平をよそに、イトマキと岩見は意味ありげな笑みを浮かべていた。


 その後、USBを見た3人も、USBを押し付けられた島松にも何も起きることはなかった。



 3人がUSBを見た次の日、島松はいつものように診察室に入った。

 ふといつもなら気にならないゴミ箱がなぜか気になってゴミ箱の中を見た。そこにはUSBメモリが捨てられていた。


 「なんだ?こんなの捨てたっけか?」


 島松は気になってUSBメモリを自宅に持ち帰り、自宅のPCで中身を確認した。

 USBメモリのフォルダにはパスワードがかかっておらず、拡張子がjpgの資料が入っていた。


 「なんだこりゃ・・・?」


 島松は老眼鏡を上げ下げしながら様々な資料を何度も確認した。


 

 

次回はRPGパートが復活します。お待たせして申し訳ありませんでした。


あと、実は物語自体が未来のこと、というのがようやく明らかになりました。

にしても、なんだかいろいろとあまり夢のない未来図ですね(汗

想像力が乏しくてすいません・・・orz

特にPC関係のものは一度も自分の予想が当たったことがないので(ブログが主流になると思わなかった。フロッピーの次はMOだと思った。などなど)、PC関係に関する未来予想図を書くのが苦手なんです(泣

マンガのアニメ化ドラマ化は結構予想が当たるんですけどね(笑

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