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43/reboot  作者: 煌洲 桜子
43/reboot
22/86

雷鳴

 このところ、俺は狩りには行かず、メリッサと初心者エリアで初心者の勧誘をしている。

 思ってみれば、ここに最初に来た時はすげー戸惑ってたなぁ。

 いつもやってるMMORPGの武器も装備もなしにこの世界に放り出されて、1からLv上げなんて、普通のラノベじゃ絶対ありえないよな。普通なら武器も装備もLvもチートな感じで俺TUEEEEEEE!で世界を救うはずだったんだけどなぁ・・・。

 おまけに食事ゲージは満腹なのに妙に腹が減って行き倒れてみたり・・・。

 でもそんな普通のラノベじゃあり得ない状況だったから、メリッサに会えた。俺は今それだけでもう十分満足だった。


 「どうしたの?なにか良い事でもあった?」


 メリッサが急に俺の顔を覗きこんできた。俺は思わずニヤけているのが顔似でたのかと思い、慌ててなんでもないと否定した。

 それにしても、今日はなんで雷が鳴っているのだろうと、なんとなく不思議に思っていた。

 そんなこんなで俺とメリッサは雑魚MOBを無視しながら仲間になってくれそうな奴を探していた。

 ふと、遠くに長い剣を振り回す女を見つけた。恐らく俺と同じヘラクレスクラスの女アバターだろう。だけど、その振り回す剣にはどことなく力がなかった。

 やがて剣を振り回していた女アバターは剣先を地面に刺して、戦闘中だと言うのにとうとう力なく跪いてしまった。


―このままじゃ殺される!


 俺は無言で駆け出し、背中の剣を抜いた。女アバターはMOBにボコボコにされながらもなんとか回復アイテムでその場を凌いでいるようだ。

 メリッサがいるから万一女アバターが死んでも復活させてもらえばいいけど、死んだ分だけ経験値が減ってしまう。

 俺は女アバターの所へ到着すると、女アバターの頭の上で軽く剣を振った。MOBは胴を真っ二つにされて消えていった。

 女アバターは何が起きたのかは分からないが、MOBが消えたことに安心してとうとうその場に崩れ落ちた。

 俺のあとから駆け寄ってきたメリッサが女アバターに声をかける。


 「大丈夫?」


 メリッサはそう言いながら女アバターに回復魔法を施す。どうやら死んでなかったみたいでよかった。俺が胸をなでおろしていると、女アバターが目を覚ました。


 「あの、ここは・・・。」


 女アバターは力のない声で尋ねた。


 「ここ、ベルセポネオンラインだよ。」


 俺がそう言うと、女アバターは不思議そうな目で俺を見ていた。


 「そう、ベルセポネオンラインよ。」


 メリッサがそう言うと、女アバターはようやく思い出してこの状況を納得したようだった。

 俺達は彼女を助けたついでにギルドへ勧誘し、彼女は晴れて俺達のギルドの仲間入りを果たした。

 メリッサはアジトへ案内すると言って、俺と彼女と手を繋ぎ、テレポート魔法でアジトへ向かった。

 アジトに到着し、俺は安堵のため息をついた。


 「なんか今日は雷がすげーなぁ・・・。雨でも降るのかな?」


 俺のその言葉にメリッサの表情がこわばっていた。


 「ジオサイドくん、ちょっとこっちに来て!」


 メリッサはそう言いながら俺の手を強く引いてアジトの地下へ連れて行った。

 そしてアジトの片隅に俺を押し付け、両肩を強く握ってきた。


 「この雷は危ないの!絶対今は外に出ちゃダメ!」


 メリッサのあまりに切羽詰まった表情に、俺は気圧されてしまった。


 「そうだ・・・。」


 メリッサは俺の肩から手を離すと、自分のアイテムの中からザクロの実を取り出し、その粒をひとつちぎった。いつも見るザクロの実の粒より、鮮やかな赤で、まるで宝石のように美しくきらめいている。


 「お願い、これを食べて。」


 そう言いながら、メリッサの指が俺の唇に触れる。それだけでドキドキしてしまう。俺は言われるがままメリッサの指からザクロの粒を口に入れて飲み込んだ。


 その瞬間、意識が遠のき、視界は真っ暗になった。何かかが倒れる音がしたけれど、俺は身動きひとつとれなかった。

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