お腹が空いて力がでないよ・・・
頑張って雑魚MOB叩いてすげー疲れた。なんとか初心者エリアを抜けられたけど、とにかく腹が減ってしょうがない。
MOBから出た肉を食って、足りない分は店で肉を買って食べて空腹ゲージ満タンになってるはずなのに、全然満腹じゃない。全然食い足りない!
かといって更に店で肉を買って食べてみても空腹ゲージは変わらない。
しょうがなく俺はため息をついてまたlv上げを始めた。初心者エリア抜けてようやくノーマルエリアに到達したから、きっとこれからいろんなキャラに出会えるはずだ。
俺は初心者エリア卒業のプレゼントでもらった自分の背丈ほどの大きな剣を担いで町を抜けてMOBエリアへと向かった。
さすがに妙に腹が減ってるだけあって、大きな剣を奮ってMOBを倒すのがきつい。おまけに回復剤が意外に重くて俺の疲労は募っていくばかりだ。
「あー・・・お腹空いた・・・。」
思わず俺は疲れてその場に倒れ込んた。
さっきからMOBエリアを周ってるけど、誰も見当たらない。もしかして、俺だけしかこの世界に居ないんじゃないかと思うとだんだんと心細くなっていた。
辛くて寂しいのに涙は出て来なかった。
「あれ?生きてる?」
ふいに女の子の声が聞こえた。起き上がって振り返ると、そこには魔法使いの補助魔法とヒーラー専門のクラスの女の子が居た。どうやら俺に蘇生の呪文を掛けてくれていたらしい。
「あああああ、ありがとうございます!」
ようやく人に会えて、しかも女の子に声をかけられて気が動転して声が上ずってしまった。もっとかっこ良く出会いたかったのに、行き倒れで助けられたんじゃ恥ずかしすぎる!
「あーよかった。さっきから回復も蘇生もしてたけど起きないから、切断したのかとおもってた。」
ヒーラーの女の子はオンラインのキャラ同様に可愛い修道着でもちろん顔もかわいいし、なにより俺に向けてくれた笑顔も可愛かった。
「もしかして君、まだこっちに来て日が浅いのかな?」
彼女は俺の顔をのぞき込んだ。こんなに可愛い女の子が近い距離に居て、心臓がバクバクしてるのが聞こえないか心配だった。
「う、うん。まだなんか始めたばっかになってるみたい・・・。」
俺はそれから彼女に今までのことを話した。彼女はうんうんと相槌を打ってくれる。
「やっぱりそうだったんだね。まだ顔の表情が硬いからそうだと思った。」
彼女は俺の緊張をほぐそうとしてくれるのか無邪気な笑顔で微笑みかけてくれた。
「私も最初はそうだったよ。ほんと、大変だった。でも今はだいぶlv上がったし、ギルドにも入ってるから、今すごく楽しいの。」
彼女も俺同様にこの世界にやって来て、一人ぼっちで初心者から始めて、こんな俺を助けてくれたんだと思うと、急に胸が熱くなった。
「ほらほら、泣かないで。」
俺はいつの間にか涙を流していた。そして溜まっていた寂しさが一気に溢れだして、恥ずかしいのも忘れてただ小さな子供のように嗚咽を吐いて泣きじゃくった。
ふいに彼女の手が俺の後頭部に回されて、彼女の胸の谷間に優しく押し付けられた。一瞬ドキっとしたけど、それよりなにより安心してさらに大声で泣いた。
「はいはい、よしよし、寂しかったよね。」
彼女はしばらく俺が泣き止むまで俺の頭を優しく撫でてくれた。
こんな温かい手、どれくらいぶりだろう。ほんの少しだけ元の世界の記憶が頭をよぎった。