表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/16

神社

気付いたらそこにいた。


今も変わらず静かにたたずむ神社。

さほど大きくはないが、決して小さくも無い。

風情の感じる石畳に沿って木が植えられている。冬枯れした木々の下には、あんまり掃除はされていないらしい、落ち葉がたくさんそのままになっている。


時折風邪が吹けば、辛うじて木についている枯れ葉がふわりと宙を舞い、下に溜まった落ち葉はかさかさ、と音を立てて踊る。

しんと静まり返っているためその音がやけに耳に響いた。


ぼんやりと、まるで夢の中のように、ふわふわとした気持ちでその神社を見つめていた。

どれだけ見つめていたかわからない。


そうしているだけで何となく心が落ち着いていく。

そしてゆっくりと昔の事を思い出した。


ここは、オレが昔よく遊んでいた神社だった。

近所に住んでいるワタルと暗くなるまで遊んでいた。

鬼ごっこや、だるまさんが転んだとか、かくれんぼとか。

かくれんぼでは最後の一人が見つからず、苦労したっけ。


「………え?待て。遊んでいたのは…ワタルと二人で、だよな…?」

思い出していた回想の中の自分達と、今覚えている記憶が違ってオレは頭を抱えた。


覚えていないはずなのに、オレはなぜかワタルのほかにもう一人いたと知っている。

この神社を前に、自分が覚えている記憶は間違っていると心が告げているのだ。

神社を見上げる。周りを見渡す。しかし、そこにいたはずのもう一人がどうしても思い出せない。

自分達が遊んでいる光景は思い出せるのに。


記憶とこころが食い違っていて気持ち悪い。




オレが強引に思い出そうとしたところで、


ぐー・・・


「………………」


腹がなった。


「………空気読めっオレ!!!」


誰も聞いてないとわかっているのに頬が厚くなるのを感じた。

どうしてオレはこうなんだ。

何か、考えているのも馬鹿らしくなった。


そういえば、オレは学校が終わってから、まだなにも食べていなかったことを思い出す。


時刻は二時を回っていた。

どうりでおなかが減っているはずだ。


「とりあえず…ここは保留だな。明日は日曜だし…改めてまたもっかい来てみるか」

ワタルにも聞いてみようかなと思ったオレは、ようやくその神社をあとにした。




その夜、オレはワタルに電話していた。


「おーいワタルー?オレオレー」

『その声は…いや、オレオレって誰だよ!詐欺か!?オレはまだそんなじーさんじゃ…』

「その声はって…気付いてんだろ、無理に演技すんなよ」

『うわーけちー。ノってくれたっていーじゃん』

「どやって乗るんだよ…」


オレが溜息をついたところで、ワタルは何の用事か聞いてくる。


「ああ…、昔の話なんだけどさ、神社で遊んでたのって覚えてるか?」

単刀直入に聞いてみよう。何の脈絡もないが、そこには突っ込まずに、電話の向こうで唸る声が聞こえてくる。

思い出しているらしい。

十数秒ほど後、ワタルが思い出したように、『ああ!』と声を上げる。


『そーいや神社で走り回って遊んだよなー。オレらちっせー頃ここら辺に公園なかったから…』

因みに今は歩いて五分ほどのところに小さな公園が出来た。

近くにマンションが建ったため、それに付随して作られたのだ。


「オレと、もう一人いたよな?…誰だっけ?」

本題を聞いてみる。


『え?もう一人…?…………』

「覚えてるか…?神社の近く通ったときふと思い出してどうしてるかなーって…」


『うーん、いたようないなかったような…どっちにせよオレ名前知らねーや…』

ワタルはいまいち覚えていないらしい。曖昧な答えが返って来る。

さほど期待してはいなかったがやっぱり誰なのか分らず仕舞いか。


「いいや、ありがとう」

そういって、電話を切る。


「まー…どっちにしろ明日行って見るか…」


テスト勉強のことも忘れてオレはベッドに入った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ