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妖魔の森

私たちは森へ向かった。出かける際に私はお金をタヌキに渡した。この旅は私の旅ではない。私はタヌキが無事に薬を手に入れる手伝いをするだけなのだ。タヌキはお金の入った袋を受け取ると、しっかりと体に縛り付けた。

 私と人間に化けたタヌキは森へ入った。その森は通称「妖魔の森」といわれていた。奥に進むにつれ、木はうっそうと生い茂り、さながら樹海のようだった。

 私たちの足音以外は鳥の声や木々がサワサワ揺れる音だけ響いていた。タヌキはびくびくしながら、私の後ろにぴったりとついてきていた。


 あたりがやけに静かになっている。先ほどまで聞こえていた鳥の声が聞こえなくなっている。木々の揺れる音も、先ほどよりも少なくなっている気がした。静かすぎる違和感にタヌキも気がついたようで、私の服の裾をぎっとにぎった。静けさの中に、なにかが、なにかの圧力がものすごい勢いで増しているような気配がした。

 くる。そう思ったとたん、暗い森の奥からなにかが複数飛びかかってきた。妖魔だ。私は剣を抜きなぎ払った。すぐさま次の攻撃に移ろうとする。

 ところが。タヌキが私の腰にしがみついてきた。タヌキの予想外の動きに、私の態勢が崩れかける。危ういところでなんとか敵の攻撃を受け止める。

「タヌキはなせぇぇ」

 しかしタヌキは離れるどころか、さらに両腕に力を込めてきた。私は不自由な態勢でなんとか敵の攻撃をかわしながら、タヌキを振り払おうと試みる。しかし、タヌキはすっぽんのように離れない。妖魔は容赦なく攻撃を仕掛けてくる。

 私は仕方なくタヌキに肘鉄をくらわせた。タヌキの束縛から解放された私は妖魔を次々に屠った。

 一通り片づけたが、木々の奥が騒がしい。どうやら血のにおいをかぎつけて、さらなる妖魔がこちらに向かってきているようだった。私はタヌキの襟首をつかむと走り出した。

 しばらくすると、タヌキは正気を取り戻したようだった。私はタヌキを叱り飛ばした。次に同じようなことをしたら容赦なく置いていくと。タヌキは、もう二度とあのようなことにはならないと私に誓った。

 そうこうするうちに、またもや妖魔が襲いかかってきた。今度はタヌキは冷静だった。私は妖魔をなぎ払いながら、タヌキとともにようやく森を抜けた。妖魔は森の外までは追ってこなかった。

 後半は冷静に行動していたタヌキだが、よほどこわかったのだろう、耳としっぽが出ていた。

「それ、でてるぞ」

私が指摘すると、タヌキは慌ててひっこめた

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