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出会い

私はかつて世界が闇に閉ざされようとしていたとき、勇者とともに魔王を倒し世界を救った。私はもともと傭兵家業をしていて、接近戦が得意だった。

 魔王を倒し、魔王軍の残党の主だったものも始末したあと、私は虚しさを覚えていた。勇者は国王になり、魔術師は宰相となり、神官は教皇になっていた。しかし私は戦いは得意であったが政治向きではなかった。これからの世には武力は必要なかったのだ。

 のんびりと余生を過ごそうとしたが周囲は私の力を放っておいてはくれなかった。平和になった世でも私の知名度や武力を利用しようという者たちがあふれていた。力を求め、私と手合わせをしたがる者もたくさんいた。

 うんざりした私は表舞台から去り、ひっそりと生きていくことにした。そして私の選んだ住処は普通の人間が来ることができないような険しい山の奥だった。世間は次第に私の存在を忘れていった。

 世間との関わりを極力避けてはいたが、全く断絶したわけではなかった。私の住む山の下の方にに小さな神殿がある。私はたまにそこに降りて行き、神官からいろいろな物資などを得ていた。山のふもとには小さな集落があったが、私はそこには近寄らないようにしていた。


 ある日、私はいつものように神殿へ行くために下山した。いつものように最初に神の祭られている社にお参りをするために社に向かった。

 と、どうやら先客がいたようだ。先客は私の気配がするや否や、ものすごい勢いで走り去った。

 その姿は妙にふさふさしていて俊敏すぎる動きだった。あれは人間ではない。私は直感した。

 先ほどまで「それ」がいたところに行ってみる。すると、木の葉の上に旬の果実が盛られていた。どうやらお供えのつもりらしい。


 私はお参りをすませると、神官のもとに行き、先ほどの件をたずねてみた。

 どうやら数日前から毎日お供え物がおかれているらしい。早朝、まだあたりが薄暗い時間にお供え物がおいてあるらしい。村の者ではない気がする、とのことだった。たしかにあの果実は人がめったにいかないような場所にある果実だった。

 私はとても興味を持ち、神官に犯人を突き止めたいと申し出た。神官もとても気になっていたようで、快く許可をしてくれた。


 私は深夜になると、社のあたりに潜伏した。久しぶりの緊迫感は心地の良いものだった。

 と、小さな影がひょこひょこやってくる。何かを大事そうに持っている。そして、小さな影はあの場所にそれを置いた。

 息をひそめ忍び寄る私に全く気が付いていない。今だ。私はその影を取り押さえた。

 それは、驚いたことに、タヌキだった。

 私は取り押さえたタヌキから事情を聴いた。この山には狸の里があるらしい。タヌキには恋人(狸)がいるが、それが重い病らしい。タヌキの長老でも治せない病で、もう神頼みしかないと思ったタヌキはここに日参していたのだった。

 私はタヌキが哀れになり、狸の里へ行きタヌキの恋人をみてみた。その症状からある病だとわかった。その病には特効薬がある。しかし、その薬はこの辺りでは容易に手に入らないものだった。

 私は神殿に戻り、神官にその話をし、村にその薬がないか探してもらうことにした。ところが残念ながら村では手に入らなかった。しかし、森の向こうにある街ならば大きな薬屋があり手に入るとのことだった。

 神官はお金を用立ててくれた。タヌキは人に変化することができるので、私はタヌキとともにその街に行くことにした。

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