表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
1/47

プロローグ 女神からの贈り物 全話編集中

プロローグ 女神からの贈り物


 真っ白な世界だった。


◇◇◇


「……ここは?」


◇◇◇


 少女――黒澤百合は、ゆっくりと目を開いた。


◇◇◇


 最後に覚えているのは交通事故。


◇◇◇


 ブレーキ音。


◇◇◇


 強い衝撃。


◇◇◇


 そして意識が途切れた。


◇◇◇


「私……死んじゃったのかな」


◇◇◇


 静かな声が白い空間へ消えていく。


◇◇◇


 その時だった。


◇◇◇


「目が覚めたようですね」


◇◇◇


 鈴の音のように澄んだ声が響く。


◇◇◇


 百合が振り返る。


◇◇◇


 そこには、一人の女性が立っていた。


◇◇◇


 長い銀髪。


◇◇◇


 透き通るような青い瞳。


◇◇◇


 純白のドレスを纏い、神々しい光をまとっている。


◇◇◇


 見惚れるほど美しい女性だった。


◇◇◇


「あなたは……?」


◇◇◇


 女性は優しく微笑む。


◇◇◇


「私は創造女神エルシア」


◇◇◇


「あなたをここへ導いた者です」


◇◇◇


 女神。


◇◇◇


 その言葉だけで理解した。


◇◇◇


 自分は命を落としたのだと。


◇◇◇


 しかし、不思議と悲しみはなかった。


◇◇◇


 エルシアは穏やかな声で続ける。


◇◇◇


「黒澤百合さん」


◇◇◇


「あなたには新しい人生を歩んでもらいます」


◇◇◇


「新しい人生……」


◇◇◇


「はい」


◇◇◇


「転生です」


◇◇◇


 百合の心が少しだけ弾む。


◇◇◇


 転生。


◇◇◇


 まるで物語のような話だった。


◇◇◇


 すると、エルシアは楽しそうに微笑む。


◇◇◇


「転生先は、あなたが最も愛した世界」


◇◇◇


「VRMMORPG『リリンズ・ゲート・オンライン』です」


◇◇◇


「えっ!?」


◇◇◇


 百合は思わず大きな声を上げた。


◇◇◇


 学生時代から何千時間も遊び続けた大好きなゲーム。


◇◇◇


 サービス終了の日には、本気で泣いたほどだった。


◇◇◇


「でも」


◇◇◇


 エルシアは人差し指を立てる。


◇◇◇


「あなたが向かうのはゲームの時代ではありません」


◇◇◇


「ゲームから五百年後の世界です」


◇◇◇


「五百年後……」


◇◇◇


 百合は目を丸くした。


◇◇◇


 五百年。


◇◇◇


 街も。


◇◇◇


 人も。


◇◇◇


 歴史も。


◇◇◇


 きっと大きく変わっている。


◇◇◇


 それでも。


◇◇◇


 胸の高鳴りは止まらなかった。


◇◇◇


「面白そうです!」


◇◇◇


 その答えに。


◇◇◇


 エルシアは嬉しそうに笑った。


◇◇◇


「やはり、あなたならそう言うと思いました」


◇◇◇


 そして。


◇◇◇


「では、一つだけ願いを叶えましょう」


◇◇◇


「リリンズ・ゲート・オンラインの世界へ行くにあたって、一つだけチート能力を授けます」


◇◇◇


「何が欲しいですか?」


◇◇◇


 百合は少しだけ考えた。


◇◇◇


 最強の攻撃力。


◇◇◇


 無限のお金。


◇◇◇


 万能魔法。


◇◇◇


 どれも魅力的だった。


◇◇◇


 だが。


◇◇◇


「不老不死が欲しいです」


◇◇◇


 迷いはなかった。


◇◇◇


「世界中を旅したいんです」


◇◇◇


「時間を気にせず、ずっと冒険したいので」


◇◇◇


 エルシアは優しく頷く。


◇◇◇


「分かりました」


◇◇◇


「あなたに不老不死を授けます」


◇◇◇


 柔らかな光が百合を包む。


◇◇◇


 さらに。


◇◇◇


 エルシアが両手を広げた。


◇◇◇


「それだけでは寂しいですね」


◇◇◇


「餞別として、約百種類のスキルをすべてLv10で授けましょう」


◇◇◇


「本当ですか!?」


◇◇◇


 百合の顔が一気に明るくなる。


◇◇◇


 光の粒が次々と身体へ吸い込まれていく。


◇◇◇


 剣術。


◇◇◇


 錬金術。


◇◇◇


 魔法。


◇◇◇


 鍛冶。


◇◇◇


 料理。


◇◇◇


 鑑定。


◇◇◇


 気配察知。


◇◇◇


 数え切れない知識と技術が身体へ流れ込んだ。


◇◇◇


 そして。


◇◇◇


 百合の身体が再び光に包まれる。


◇◇◇


「これは……?」


◇◇◇


 黒髪がさらりと揺れる。


◇◇◇


 身体つきが変わる。


◇◇◇


 顔立ちも少しずつ変化していく。


◇◇◇


 エルシアが一枚の鏡を差し出した。


◇◇◇


 そこに映っていたのは。


◇◇◇


 もう黒澤百合ではなかった。


◇◇◇


 美しい黒髪の少女。


◇◇◇


 透き通るような白い肌。


◇◇◇


 凛とした瞳。


◇◇◇


 エルシアは優しく告げる。


◇◇◇


「今日から、あなたは――」


◇◇◇


「リリス・ルクスヴィアです」


◇◇◇


 リリスは鏡の中の自分へ微笑んだ。


◇◇◇


「よろしくね、リリス」


◇◇◇


 エルシアも優しく微笑み返す。


◇◇◇


「どうか、あなたらしく自由に生きてください」


◇◇◇


「思う存分、この世界を楽しんできなさい」


◇◇◇


「はい!」


◇◇◇


 リリスは大きく頷いた。


◇◇◇


 その瞬間。


◇◇◇


 眩い光が世界を包み込む。


◇◇◇


 少女の第二の人生が。


◇◇◇


 今、始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ