仮免許試験
その後、優太は技能、学科とも順調に進み、仮免許試験が間近となった。
そして、今日は仮免許試験の日だ。チャイムが鳴り、間もなく教官が近づいてくる。小柄で眼鏡をかけ、オールバックにしている。
「どうも、水野です。本日は仮免許試験ですね」
教官が人差し指を立てている。
「よろしくお願いします」
エンジンをかける。
「平常心平常心」
S字、クランク、坂道発進と、緊張しながらも順調に進み、スタート地点へ戻ってきた。水野教官は優太の教習簿に何か書き込んでいる。
「駄目だったのか…!?」
水野教官は人差し指を立てた。
「一つ、よろしいですか?」
「は…はい」
「少し、運転に『慣れ』が見られますねぇ。えぇ、少し操作の早いところが見られました。最初の頃はもっと慎重だった筈ですよ」
「そうだったかもしれません…」
「どうか、慢心しないように気をつけて下さいね。運転は、慣れた頃が危険です。細かいことがつい気になってしまうのが、僕の悪い癖。おめでとう、合格です」
そう言うと、教習簿を優太に渡して教官は降りた。優太の僅かな癖や振る舞いを、確実に教官は見抜いていた。
自分の技術に酔ってはいけない。それは、空手も同じだった。だからこそ、優太はこれ見よがしに技を使う事には否定的だった。
その後、学科試験も合格し、優太は仮免許を与えられた。
[絵里ちゃん!仮免許合格!]
仮免許証を写真で撮り、送信した。




