表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/15

運転する資格

初デートで、急遽予定変更を提案した絵里。その理由が、優太の心にはずっと引っかかっていた。

優太は真夏の暑さを気にして、短パンにTシャツという格好だった。しかし、ツーリングにおいて、軽装は相応しくない。車にもバイクにも関心がない優太は、そこに気づかなかった。


「もし事故が起きたとき、バイクは身体を守れないから軽装は危険なの」


「万が一の時、優太君を危険に晒すわけにはいかないから…」


 優太は運転免許に関心すら持たなかった事を恥じた。せっかく絵里が企画してくれたデートを潰してしまったと思ったのだ。


「嫌な思いさせてごめんね」 


 絵里が謝った。 


「違う、それは違うよ。俺が気づくべきだったし、もっと関心を持つべきだった」


 優太の本音だった。


「乗せてもらうから何も考えなくて良いということは、絶対にないよ」


 立ち上がって謝った。


 横で店員がピザを持って立っている。


「あ…お待たせしました…」


 裕太と絵里が店員を見た。


「出直し…ましょうか??」


「あ、受け取ります!ありがとうございます!」


 優太と絵里が同時に手を出して、皿を受け取った。


 夕方から夜に差し掛かり、次第に空が暗くなり始めていた。電車を待つ二人は、駅のベンチに座っていた。子供がミニカーを持って走っている。


「ブーン、ブーン」


「絵里ちゃん。俺、車もバイクも関心がなかった。運転怖いなって。でも、免許を取らないのと、関心を持たないのは違うんだなって」


「私、優太君は運転に向いていると思う」


「えっ!?」


 驚いて優太は絵里の顔を見た。


「運転が怖いって当たり前。だって、すごい力を持ったものを扱うんだもん。気楽に乗ったらダメなんだよ。慎重に、怖さを理解している人だからこそ、乗る資格があると私は思うんだ」


「怖さを理解…」


「この前優太君が、酔っ払いから守ってくれたでしょ。あの時、優太君なら捻じ伏せるのは簡単だったはず。でも、そうはしなかった。自分の力を使うべき場所と相手を、優太君は分かっている人だから」


「あ…いや、そんな立派なものじゃ」


「少しでも関心があったら、車でもバイクでも、挑戦してみたらどうかな。私、応援するよ」


 絵里の足元にミニカーが転がってきた。


「はい、どうぞ」


 絵里が拾い上げて子供に渡した。


 その後、優太は絵里を家の前まで送った。


「今日はありがとう。最初緊張しちゃって、ごめんね。すごい、楽しかった」


 優太が照れながら絵里に伝えた。


「こちらこそ。偉そうなこと言ってゴメンね。でも免許は無理は禁物だからね。バイバイ、送ってくれてありがとう」


 そう言うと、エリは自宅のドアを空けた。


「絵里ちゃん!」


 絵里は優太を振り返った。


「また…会えるかな…」


 絵里は笑みを浮かべ、頷いた。


「ヨッシャ!」


 優太は拳を握っていた。


 翌日学校に行くと、正樹と俊がニヤけて待っていた。


「どうだった?」


「あぁ、水族館に行ったんだ」


 優太は件の事情を二人に伝えた。


「そうだったのか…絵里ちゃんて誠実だな」


 正樹は感心していた。俊は感動で泣いているフリをして、ハンカチを目に当てる。


「で、その後は?手ぐらい繋いだんだろ?え?もしかして…もしかしたら、もしかしちゃった!?」


 俊がいじる。


「何もねぇよ、何考えてんだよ」


 優太が呆れ笑いをしていた。


 その日の帰り際に、優太は校門で自動車教習所の勧誘を見かけた。


「良かったらどうぞ!キャンペーンも実施中です!」


 法被を着た職員が優太にチラシを渡した。


「優太おかえり」


「母さん、俺…免許取りたいと思う」


「え!免許!?あなたどうしたの…?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ