合コン
友人の正樹が発起人となった合コンに参加することになった優太。口下手で朴訥ながら、恋愛や出会いには、一応の関心は持っている模様。
「こんにちは。えっと、▲大学のボーリングサークルの方たちですか?」
楓、絵里、明日香の三人だった。それぞれの前に俊、優太、正樹が座った。
[カンパーイ]
自己紹介の後、互いの学校やサークルの話で盛り上がっていた。明日香が正樹の鞄から見えていた教本に気づき、話題は免許や車の話に移った。
「俺、来週卒検なんだ。それが通れば、後は試験場で学科試験。皆は免許持ってるの?」
正樹は得意げに話した。
「私はペーパー、うちに車がないの」
楓が答えた。絵里と明日香は未取得だが、絵里は中型二輪の免許を持っていた。
「すごいなぁ、絵里ちゃんかっこいいなぁ」
俊は感心し、目を丸くしていた。俊は18歳で自動車運転免許を取得し、父親のクラウンに時々乗っていた。
「優太くんは?免許は?」
絵里が真っ直ぐに優太を見つめて聞いた。
「俺?俺は…まだ何も…」
一瞬、沈黙の時間が流れた。それを察した俊が、空気を変えた。
「優太はね、ずっと空手一筋。だから、見かけよりずっと強いよ」
「え〜すご〜い、守ってくれそう」
「頼りがいあるよな」
正樹も続いた。
「瓦とか割れるの??」
話題が運転免許から切り替わっていた。
絵里が皆に料理を取り分けている。
「優太君、どうぞ」
「あれ、絵里は優太君お気に入り??」
明日香のイジりに、絵里は苦笑いをしていた。
店員がラストオーダーを知らせに来た。
「また飲み会しようよ!良かったら、LINE交換しない?」
正樹が声をかけ、それぞれが連絡先を交換した。
先に店を出た楓達が外で待っていた。そこへ酔ったサラリーマン風の中年男性が絡んでいた。
「姉ちゃん達、おじさんと飲みにいこうよ」
優太は店から飛び出し、楓達と酔っ払いの間に割って入った。
「やめろよ」
「なんだテメェは」
酔っ払いは優太を小突いたが、優太は反撃をしなかった。
「止めとけオッサン、あんたが勝てる相手じゃねえ」
正樹が言う。
「つまんねぇ野郎だな」
優太は視線を相手から外さなかったため、酔っ払いは明らかに狼狽し、去っていった。
「大丈夫!?怪我してない?」
楓達が駆け寄った。
「優太、俺今110番に連絡したから!」
俊が通報していた。
「大丈夫大丈夫、何もないよ」
優太は何事もなかったように、笑いながら平然としていた。
楓達と別れた三人は、揃って帰り道を歩いていた。
「優太、やっぱりすげぇな」
「大げさにしちゃったかな…」
「いや、サンキューな」
正樹と俊が礼を言った。
「それにしても正樹、みんなすげぇ可愛いかったな。店も良かったし。正樹は宴会部長だよ」
俊が正樹の肩を揉んでいる。
「レベル高かったよな。一緒にドライブ行きたいなぁ」
「誰と?なぁ、誰?明日香ちゃんか?」
「言えねぇよ」
「優太は?あの絵里ちゃんて、なんかお前に気があるっぽかったよな」
俊が茶化して、指で小突いた。
「え?そうだった?」




