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運転する資格

 2日後の朝、優太は免許試験場にいた。試験を受ける教室で、直前までノートにまとめた要点を読み直していた。


 用紙が配られ、いよいよ試験が開始された。優太はスラスラと解答していく。試験らしい試験は、大学入試以来だった。


 試験が終わり、優太はロビーで合格発表を待った。330番が優太の受験番号だ。


[間もなく試験の合格発表を致します。合格された方の番号が点灯します]


 電光掲示板に明かりが点いた。


 315、316…327、329……


 [330] 


発行された運転免許証を持って、試験場の外に出た。絵里の他、楓や明日香、正樹と俊も居た。


「どうだった……?」


 俊が恐る恐る聞く。優太が運転免許証を高らかに掲げた。


 一瞬の間のあと、5人が歓声を上げた。正樹と俊が手荒く優太を祝福し、楓と明日香は絵里とクラッカーを鳴らした。


「今度、みんなでドライブ行こうね」


 明日香が言うと、楓も頷く。


「最初の助手席は、やっぱり絵里ちゃんでしょ〜」


 俊が言うと、優太が困った顔をした。


「それなんだけどさ…実は、先約がいて…」


「おい、それどういうことだよ」


 正樹と俊の声が揃った。しかし絵里はその理由を知っていた。



「で、ワシなのかい」


「なんたって50年無事故の祖父ちゃんだからさ、まずは学ばないとね」


 優太が運転する車の助手席に最初に乗ったのは、祖父だった。優太はまだ運転免許証を持っただけで、まだとても一人で自信を持って運転できないと判断していた。


 それはいつか絵里が話していた事であり、これまで教官から学んだ事だった。


「運転は、命を預かる責任」


 絵里を乗せるのは、もっと後で良い。優太はそう決めていた。


「というわけなのよ」


「そうなんだぁ、曾祖父ちゃんが最初の助手席だったんだ」


「そう。絵里の命を預かる責任があるからって」


「いいね、それ。お父さんらしい。でもさ、お母さんと出会ってなかったら、お父さんは車の運転免許持ってなかったのかもしれないって事でしょ」


「かもしれないわね。それが今では、交通専門の弁護士だものね」


「わからないね、人って」


 母と娘は笑い合い、仏壇に置かれている曾祖父の遺影を見た。


「ただいまー」


「あ、お父さん帰ってきた」


「お母さん。私、お父さんに言っても良い?免許取りたいって」



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