『壁の穴とプレスマン』
掲載日:2026/03/01
ある酒屋に、夫婦働きをする夫婦がいた。女房のほうは、実は、酒づくりの男といい仲になっていて、夜、女房が酒づくりの男の寝床の壁をたたくと、あらかじめ空けた壁の穴から男が出てくる、という逢い引きの仕方だったという。ただし、壁の穴から男が出てくるというのは、相当大きな穴という意味なのか、見てきたわけではないのでわからない。
毎晩、夜になると出かける女房をあやしんだ夫が、後をつけてみると、女房が一人で壁を背にして何か言っている。夫は、壁の向こうにいる男に一矢報いようと、包丁を持ち出し、女房を突き飛ばすと、壁の穴から出ているプレスマンを一刀両断に切り落とした。ただし、壁の穴からプレスマンが出ている状況など、見たことがないので、どういう比喩表現かはわからない。
プレスマンを切り落としたとき、男は、自分の鼻も切り落としてしまい、慌てて鼻を拾ってくっつけてみたが、それは切り落としたプレスマンのほうで、しまったと思ったが、どういうわけか、もうくっついて離れなかった。男は、この面相を恥ずかしがって、外へ出るときは、いつも風呂敷をかぶっていたという。
教訓:プレスマンを一刀両断に切り落とすなど、決してやってはいけない。




