第61話恐ろしき美の魔人
「ほう……スバラシイ……」
うっとりと使い魔――魔技がワタシに合わせて作った観測用のカラスのゾンビ――の視界から眺める。
ワタシの芸術作品の材料になるかと思い、白髪で竜血だという姫君を奪う為に、王位継承者の彼女を狙う貴族共の傭兵団を見張っていたが……
スバラシイ物を見られた。
あれこそワタシの恐れる程の美しさ――"恐美"の作品で使うに相応しい。
竜血の方は新神が欲しがっていたので、ついでに狙うのを続けるのもいいだろう。
あの、彼女……まさに無双の剣士。
不意打ちを喰らい、鎖で縛られながらも止まらない不屈の精神、いざ自由になれば己を縛っていた鎖を振り回すだけで何十という敵を屠る怪力――そして剣を持てば、瞬く間に剣の届く範囲に嵐の如く吹き荒れる必殺致死の強さ!
人間とはアレ程強くなれるのか、と己の無識に恥じ入る。
ゾンビ達をけしかけた時も、傷1つ付けることが出来なかった。
スバラシイ……彼女を使ったゾンビはさぞや美しく、強いだろう。
そうと決まれば彼女達を追う貴族共をどうすべきか……白髪の竜血姫は別に奪うも殺すもどちらでもいい。
あの絶対的な強さを持つ彼女であれば何が起ころうと1人生き延びるだろうが、ワタシが素材にするのには少し面倒だ。
で、あれば姫を攫ってから、彼女の方から素材となってもらう事にしよう。
ウフフ……楽しみですねぇ……
そして……もう1つ気になることがある、150ヴィエンティは離れている場所からの猛烈な攻撃。
あの男は一体何者だ?
武器を取り出したり、突然消したりしていた。
新神と同じ系統の魔法か?
出された武器も奇妙だった、圧倒的に多数である敵を一方的に屠る事ができる魔法の武器。
美しい剣士の方に意識を取られていた為、その詳細は分からなかったが、その武器を使っていたであろう場所には大量の金属片が落ちている。
どのような仕組みなのか、その武器にも興味を惹かれる……しかし警戒すべきではあるが、ワタシの芸術には使えないだろう。
やはり……狙うのは、青い髪の剣士……その身体をワタシの芸術品のコレクションに加えよう。




