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第五話恐怖!デカデカドッグの逆襲!夜に走ると危ないからゆっくり歩け!

「レイアッ!」

 アシムが素早く反応し、剣を片手にレイアの連れていかれた建物の陰まで走る。


 他の冒険者3人も駆け出してアシムの入って行った場所へ急ぐ。


 俺も追いかけようとして思い止まる。


 インベントリを開いて、ある初期装備を取り出して左手で逆手に持つ。


 その左手をセミオートにしたM16のハンドガードの下に差し込み、手の甲で銃身を支えて構えながら冒険者たちの後を追う。


 家同士が余り密集していないため建物の裏は開けた広場のようになっていた。


 教会の前よりも広いが、刈られていない木や雑草があり、正確には広場ではなく単に何も無いだけな場所のようである。


 俺が到着した時には魔物の姿は見えず、倒れているレイアにアシムが駆け寄っているところだった。


「大丈夫か!?返事をしてくれ!」

 アシムが倒れ伏したレイアに声を掛けるが、微動だにせずグッタリとしている。


「うわッ!?」

 俺から少し離れた場所にいたレーンが驚いたような声を上げる、虎のような体格の真っ黒な魔物がレーンの腕に咬みつき振り回す。


 ボキボキという音と共にレーンの身体が軽い人形のように宙を舞い地面に叩き付けられる。


 すぐさまミーンが大盾を構えながら突進するが、それに反応して魔物がレーンを投げ付ける。


 ミーンが咄嗟に大盾を下げて受け止めたところを魔物が咬みつこうと近づいていたが……


 ドンッドンッとM16が火を吹き2発の5.56x45mmのFMJ弾が魔物に飛んでいくがどちらも外れる、魔物は身を捻りすぐさま暗がりを移動し建物や木の陰に隠れて姿が消える。


 ほんの数メートル後ろでは煌々と火が焚かれ、夜の闇に抗っているがこちらにまでその光は届かず暗い。


 リルルがレーンに駆け寄り何か魔法を使っているのか、彼女らの周りに淡い光が溢れる。


 アシムとミーンはそれぞれ剣と大盾を構えながら警戒している。


 ミーンに対する動きであの魔物は確実に冒険者たちの隙を突く行動をとっていることを確信する。


 タタッと耳を澄ましていなければ気付かない足音が横から聞こえた。


 すぐさまそちらを向いて銃を向けるが、すでに魔物は目前に迫っており弾が当たっても勢いでそのまま咬みつかれる!


 それならば、カチリと左手のタクティカルライトのスイッチを入れる。


 ヴオウッ!?


 魔物がこの世界に存在しないであろうLEDの猛烈な白色の光に目が眩んで怯む。


 その瞬間にM16の引き金を引き弾丸を浴びせかける。


 2発放たれたその弾丸が魔物の身体に吸い込まれるが、魔物は速度を上げて飛び掛かってくる。


 しかし激しい光によって魔物は俺を見失ったようで、横にズレて突進を避けると家屋の土壁に激しくぶつかった。


 俺は更にM16の引き金を何度も引き、魔獣の黒い身体に何発もの弾丸を撃ち込む。


 M16に使用する5.56x45mm NATO弾は中間弾薬と呼ばれる、フルサイズの弾薬より反動(リコイル)が緩やかで、サイズの小ささから装弾数が多いといったメリットのある弾だ。


その代わりに比較的威力が低く狩猟で使用するにはパワー不足と言われることが多い……が、それならば動かなくなるまで撃ち込む。


 10発以上の弾丸を受けた魔物が息絶えてA3WのUIが視界に現れポイントが加算されたことを知らせる。


「こっちは倒した!」

 アシムたちに倒したことを伝えながら息絶えた魔物にライトを当てて全貌を確認する。


 それは真っ黒な体毛と大きな身体を持った、犬の顔の虎とでもいう生物だった。


「リルル!来てくれ!レイアの治癒を頼む!」

 アシムが必死さを隠せない声でリルルを呼ぶ、その彼の手元は真っ赤に染まりながらレイアの首元を押さえている。


 俺とアシムの声でこちらを窺っていたマリーを含む聖職者たちがレイアとレーンに走り寄っていき介抱し始める。


 何もしないわけにもいかず、レーンに近寄って聖職者たちが作業をしやすいようにライトで照らす。


 振り回されたことによって帽子とマフラーが外れて露わになった顔は青白く、右腕があらぬ方向に曲がった緑髪の女性が血にまみれて浅い呼吸を繰り返しながら横たわっていた。


「こっちはもう出血が止まってるわ、レイアの方をお願い!」

 マリーがLEDの光に一瞬驚いたような顔をした後、すぐに状況を判断して指示をする。


 俺は言う通りにレイアの方に駆け寄りライトで照らす。


「灯りの魔法?ありがとう、首筋をもっと照らして」

 マリーと抱き合っていた女性の聖職者……確かエマ……が俺の方をちらりと見て指示する。


 首元を照らすと金の髪のまだ幼さを残す14~15歳ほどの少女が、首と口から血の泡を流しながら虚ろな目でこちらを見た。


「首は折れてないから気道を確保するわ、このままじゃ血で溺れる……ニキー、刺銅管(しどうかん)を用意して」

 エマが男性の聖職者……ニキー……に言うとすぐに先の尖った金属製のストローのような物を取り出す。


 指を立てて何事か唱えると指先からライターのような小さな火が発生し、それを動かしてパイプに満遍なく火を当てた後エマに手渡す。


「刺銅管を挿入したら治癒術(ヒール)をお願い」

 そう言うとストロー(金属の管)を鎖骨の中心付近にぶっ刺した。


「ごほっ……かは……」

 レイアが苦し気に呻くが銅管から空気の通る音がし始め、少し楽そうにする。


 その後すぐに周りにいたニキーとリルルが何事かを唱えると、強い光と共にレイアの首の傷が無理やり繋げた粘土のように塞がっていく。


「油断はできないけど、出血は止まったわ」

 レイアの顔色は青白かったが、随分と楽そうな表情に変化していた。


 その後は村の人たちと一緒にレイアとレーンを教会にある救護室のベッド……木の板の上に干し草が盛られている……に寝かせられた。


◇◇◇◇


 冒険者の3人とそして勇教会の聖職者5人と俺の計9人が教会の礼拝堂で顔を合わせ、今後のことを話し合うことになった。


「……マークス牧師の死亡、護衛の太陽の輝きも2人が重傷……」

 エマが憂いた顔で出したその言葉に重かった場の空気が更に沈み込む。


「例年にない大量のフォレスト・ドッグによる襲撃、ドッグ・タイガー(犬虎)まで出てきた……フォレスト・ドッグはドッグ・タイガーに追われて村に降りてきたのかもな……」

 ポツリとアシムが悲し気な表情のまま言う。


「今回の巡礼は中止ね……」


「待って!この巡礼はマークス牧師の最後の巡礼なのよ!?それを中止するなんて……」

 エマが話そうとすると、それを遮るようにマリーが言葉を発する。


「そうは言っても太陽の輝きの5人無しではとても旅なんてできないわ……それにマークス牧師も弔ってあげないと」

 エマがマリーを諭すように言う、俺は事情をよく知らないがその言葉は最もだと思う。


「マークス牧師の遺体は無いわ、消えた……そう、フォレスト・ドッグに持っていかれてしまったわ」

 マリーが悔しそうに顔を歪める。


「ここで諦めたらマークス牧師が成そうとしていたことが何もかも失敗で終わってしまう!そんなことはダメよ、護衛の冒険者が必要ならアルファにも頼めばいい!」

 

急に話題に出されてちょっとビックリした。

女の子がひどいめにあったり取り乱してるとこうふn

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