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5 六階層
六階層に上がっても風景は変わらなかった。やはり草原と小さな森がまだら状に広がっている。
「六階層からは目印をつけて行こうか」
俺がそう言うと、ウィザードが、
「それでは私が目印をつけましょう」
そう言って俺の前を歩き始めた。俺の後ろをソードマン、プリエステスと続く。
小さな森を道なりに曲がると、階段のある建物が見えなくなる。そろそろ一つ目の目印を、そう俺が言おうとすると、ウィザードはなにやら小声で呪文を唱えている。魔術で目印? と思うとほぼ同時ぐらいに、前を歩くウィザードが立ち止まって振り返るや否や、手をかざした。手からは強い閃光が放たれる。
な、なんだ?
すべてが一瞬の出来事だった。
視界は真っ白でなにも見えない。叫び声が響く。男の声と女の声だ。それから、また、別の男の叫び声。胸に激痛……反射的に、胸に視線を向けるが、真っ白な世界だった。手で胸を触ると剣先のようなものが胸から出ている……なにが起こ…………
白い世界の中で、意識が遠のいていく。遠くで女性の声が聞こえ……