13 友人をつくろう
二度あることは三度ある。
とはいうが、あの夢の女の子は、三日目は現れなかった。かわいかったのに残念だ。なにか、怒っていたようにも見えたが、満足したのだろうか。それだったら、せっかくなのでサムズアップした姿を見せてほしかった。
それから一週間ほど経ったが、やはり現れていない……
その間、スキルの研究は進んだ。
【久視】は早く動くものがゆっくり見えるスキルのようだ。パッシブ効果で、たまに効果のないときもある。なぜ効果のないときがあるのかは、結局わからなかった。いってしまえば、そのときの気分だ。パッシブ効果なので慣れるしかない。というか、ここ一週間ほどでだいぶ慣れた。【久視】が嫌なときはメガネを外せばいいだけだし、慣れてしまえばあまり問題がない。
一日おきに塔にも行っていたのでだいぶお金も稼いだ。しかし、エクレシアからの衣服に頼ってばかりなのも申し訳ないので、下着とかは自分で購入している。そのため、貯金はできていない。プリエステスがゴッソリ持って帰ってくるのをあてにして、少しずつ、まずは衣服から自立を試みている。
トリアルの街でだいぶ過ごしているが、友人はまったく作れない。
みんな口にこそ出さないが、俺がプリンスなのを知っているため、どのように接すればいいのか分からず困っているのだろう。プリンスであることを知らない者もいるだろうが、やたらめったら話しかけるわけでもないので、そういう人とも会話を持てていない。
受付嬢は対応が気さくになった感じがする。一日おきに魔石を売却しに行くから、慣れてきたのだろう。今度トリアルにあるであろう喫茶店にでも誘ってみるか。
思い立ったが吉日。実行に移すことにした。
その日、67個の魔石を渡すときに、
「いつもお世話になっているので、なにかお礼がしたいのですが、よかったら甘いものでも食べに行きませんか。ご馳走します。ただ、お店がわからないので、お店まで案内をしてくれると助かります」
と声をかけた。元プリンスの誘いである。断るわけはない…………だろう。
「ありがとうございます」
「よいのですか? それでは、おいしい喫茶店があるのでそこでいいですか? 一時間後ぐらいに仕事が終わりますので、それまで待たせてしまいますが……」
「かまいません。その間少し買い物をしていますので」
俺はそう言って、魔石の代金を受け取る。
お互いにお辞儀をして俺は協会を出た。
間を空けないでくれ、断られるかとドキドキしたよ。