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全知全能の占い師

作者: 旭 与五郎

男は、目覚めると、ろうそくで照らされた謎の空間にいた。なぜかそれが夢であるとはっきりわかったし、体を自由に動かすこともできた。

「目覚めたようじゃの。」

ベールに包まれた謎の人物が現れた。

「わしは全知全能の占い師、この紙に何でも好きなことを書き、この箱に入れるのじゃ。」

「でも、ここは夢ですよ。現実の世界での願いを書いても、実現するんですか?」

「当たり前じゃ。わしは全知全能の存在、現実の世界での出来事だって操れるぞ。」

男は少し考えた。

「そんなこと、本当にあり得るんですか?」

「当たり前じゃ。なぜならわしは想像が作り出した存在。想像が作り出した存在に、何の制約もないことは、少し考えたらわかるじゃろう?」

男は数分間、頭を抱えて考えた。実際に手で頭を抱えるという、夢の中でしかできないことを、実際にやってみせたのだ。

占い師が全知全能の存在であるということ。

そして占い師が想像上の存在であるがゆえに、その能力に制約が何もないこと。

これら二つが両立するということは、すなわちどういうことなのかを考えた。

男は、重い障害を抱えて産まれた運命を心底憎んでいた。そして、その男を、自身の想像の中に生み出した、この小説の読者を呪うほど恨んでいた。

男は紙に何かを書いて、そっと箱の中に入れた。

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