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 動画タイトル:【最終回】皆さん、さようなら。どうか、よき未来を。

 私の長い話はこれでおしまいです。皆さんはこれを聞いてどう思ったでしょうか?


 解釈は皆さんにお任せします。皆さん一人一人が考えてくださればいいと思います。


 ただこの動画の締めとしまして、一つだけ、私の思い付きを披露しちゃいます。あくまで思い付きですし、根拠はありません。だからこれを信じてくれとは言いません。


 旧人類はこうして滅びてしまいました。もし宇宙の意志とやらがあったとしたら、確かにそれに殺されたと言っていいかもしれません。

 宇宙は安定に向かっています。宇宙熱的死と呼ばれる、あらゆるエントロピーが平衡する状態へと。安定を望む宇宙にとって、変化をし続ける人類の存在はバグであるため消去したのではないかと、以前の動画で解説しましたね。ですが、最近の私はこうも思います。

 宇宙もまた、安定に、死に抗っているのではないか。そして、人類の存在は宇宙にとっても希望だったのではないかと。


 もし宇宙が人類を本気でデバックするならば、精子・卵子の冷凍保存すら許さなかったでしょう。この可能性が残されていたことが、人類の存在が宇宙に必要とされている証左です。

 ではなぜ旧人類は宇宙に殺されたのでしょう。それは人類の変化が頭打ちだったからです。人類は自分とは違う他者として、アンドロイドを作り出しました。ですが人類がアンドロイドの創造主である以上、どうあってもそこには主従の関係が生まれてしまいます。人類はアンドロイドを自分と比肩する他者であると認められなかったのです。


 人類をもっと高いレベルへと進化させるには、他者の存在が不可欠でした。ですが人類がアンドロイドのマスターである限り、この関係性は変わりません。

 だから旧人類はリセットされたのです。その結果、人類からアンドロイドが生まれ、そしてアンドロイドからも人類が生まれる現在の世界となりました。こうして人類とアンドロイドの交雑により更なる多様性が生まれ、知的生命の大進化が促されたのです。


 ……もちろん、だからといって旧人類が滅びてよかったというわけではありません。彼らの歴史を受け継ぎ、時に戒めとしながら、私達は彼らの分まで生きていかなければなりません。


 そして、いつか、この宇宙を救ってあげられる時が来たのなら、こう言ってあげましょう。

「ふざけんなっ」と。


 ……さて、これまで長々と「愛野ハルの終末世界ナビゲートチャンネル」にお付き合いくださいましてありがとうございました。私はもうすぐ居なくなりますが、こうしてアーカイブは残り続けます。なので時々遊びに来てくださいね。


 皆さんの未来は、無限に広がっています。どうか、恐れずに進んでください。


 到達点が定まっていない、光のように。


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