ママと騎士とお父さん????
そろそろ現実を直視しなければならない。
あ、いや、異世界召喚とかとっくにめちゃくちゃ非現実だよとかいうツッコミはもうこの際どうでもいいんだ……。
「あの。つまり、ママに会っていきなり求婚したんですか」
「その通りです」
「一目惚れで?」
「恥ずかしながら、一目で運命だと」
なんだこの恥ずかしい美形。無駄に様になってて反応に困るんだけど。
色付いた頬で明らかに照れてます、という顔で実の娘に母への愛の告白を熱烈にされても本人じゃないのに一体どうしろと。
てか横にママいるんですけど。そっち向けよ。
「ん、んんんっ! でもトイレごとき……じゃなくてお手洗い程度の対価で即婚約って、ママの意思を無視して脅してません?」
「いえ、許可は頂きましたので」
「許可……?」
なんの? えっ、ママへの求婚って許可制だったの!?
ばばっ! と二人の間を視線が行き交ってしまう。
ママ黙秘。お願いだから、なんか言って。
「ええ。水回りに関しては規定として血縁か配偶者、家系に連なる者でのみ使えるよう設計されておりますので。私と婚約という形を整えれば、不特定多数が常に傍にいることは減るというお話をしたところ、条件付きで仮婚約のお許しを頂き……。特に昨夜は聖姫様がお気に召した者がひとりも居なかったというお話を聞いたものですから、このままではこの先も不特定多数に持ち回り世話をされることになってしまいます」
「な、ななな、なんだってーー!!」
めちゃくちゃベタな反応をしてしまった。
いやだってこれは仕方ないでしょ! 聞いてないよ!
やっぱり異世界謎文化だったよ!
誰だよ考えたの! 責任者出てこい!
「ですので、いつまでも愛しいミユキをそのような状況に置くことは看過出来ませんでした。正式な順序を踏まず、直接求婚してしまったことで聖姫様には大変ご不快な思いを……」
「――パパ!!」
わたしは申し訳なさそうな顔で結構酷いこと言ってるミハエルパパの手を迷わず掴んだ。もうこの手は離さない! ママが!
わたしの急な態度の変化に、「ぱぱ?」と困惑しているミハエルパパに思うところはめちゃくちゃあるが、背に腹は代えられない。
「認めます。ママとの交際、婚約を認めます!」
「――あ、ありがとうございます! 聖姫様!」
「ミアって呼んで良いよ、ミハエルパパ」
「はい、ミア。ありがとうございます」
こうしてかなり不純な動機によって異世界でわたしのパパが出来た。
パパ活……あ、いやなんでもないです。