ママと召喚と聖姫と異世界
「うぅ……」
頭ガンガンする……。
「美愛! 起きたのね。良かった……」
「ま、ま……?」
聞き慣れた声に安心して、痛む頭のせいでぼやっとした返事をする。
ママに横たわったままぎゅっと抱きしめられていてイマイチ状況が把握できないけど、玄関を出てすぐに転んで頭を打ってしまったのかもしれない。
「……ううん。うううん……??」
……なんか、白昼夢でも見たのかな? ちょっと信じられないような非現実的な状況に陥ってた気がする。
地面に吸い込まれた感覚がしたんだけど……ひょっとして相当打ちどころが悪かったのかな……。
「――起きましたか、聖姫様」
「……え、だれ? ママの彼氏?」
めちゃくちゃ渋良い声で娘のわたしを姫とかイタイこと言うようなママの彼氏なんていたっけ……?
こんな良い声なら忘れることないと思うんだけど……。
「違うわよ」
違うんだ……。じゃあ近所の人? こんな声の人いたっけ……?
「この国の王様らしいわよ」
「おうさま……」
王様ってあれだよね、王様。……王様?
「お、王様!?」
ガバッ! と勢いよく起き上がってやっと周囲を確認した。教科書とかに載ってそうな荘厳で美麗な教会建築っぽい場所の中心にママとわたしがいた。
見回せば騎士っぽい鎧に身を包んだ集団がぐるりとこちらを逃がさないようにか囲っており、更にやたらとキラキラしい美形集団がわたしたちの一番近くに居てこちらをじっと見ていた。
「えっ、えっ、……えっ?」
どどど、どういう状況!?
わたしは混乱のあまり、ママにひしっと抱き着いた。