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ママと喧嘩してたら召喚されました


「――いい加減にしてよ! 恥ずかしい!」


 身が引き千切れんばかりの大声で怒声を上げると、怒声を上げられたはずの相手がおっとりとした表情で冷静に言葉を返した。


「でも美愛(みあ)ちゃん。これからに絶対必要なことなのよ? 我儘言ってないでママのお願い聞いて欲しいわ」

「我儘って……」


 愕然と、美愛ちゃんと呼ばれたわたしは口を開きっぱなしにした。

 が、すぐに再びカッ! となって叫ぶ。


「――どこの世界に娘へ自分の彼氏との交際を勧めるような不健全な母親がいるの!?」

「ここにいるけど」

「ちっがあああああああああうう!」


 そういうことじゃない! 倫理観! 倫理観を思い出してっ!

 ていうか年齢差! 三十差と未成年は普通にパパ活だよ……!


「だって、あの人ならちょうどいいと思って」

「何が!? 何がちょうどいいの!?」

「それは、」

「いい! もう聞きたくない! ママなんて――ッ」


 そこで言葉にぐっ、と詰まった。


「美愛ちゃん……?」


 本気で心配そうにわたしを見るママの顔に、何も言えなくなる。


 女手一つでも苦労しながら育ててくれているのに、……ちょっと倫理観がぶっ飛んでるけど。

 それでも! それでも娘としてママなりに愛してくれているのを分かってて嘘でも嫌いだなんて言えなかった。


「美愛ちゃん!?」


 ――暫く外に出て頭を冷やそう。それで戻ってきたらなんでそんな話をし出したのか聞いてちゃんと嫌だって断らないと。

 このままでは言いたくないことを言ってしまいそうで、今はここにいたくないと思った。

 だから逃げるように家の玄関を開けて飛び出した、ら――。


「えっ――?」


 外へ一歩を踏み出しただけだったのに突如として地面から迸る光の奔流に呑み込まれ、足元から吸い込まれていくように感覚が遠のいていく。

 意味の分からない現象に恐怖して、慌てて近くにあったドアにすがりつこうとして手がすり抜けた。


「あ――」

「美愛ちゃ――」


 なんで? なんて考える暇もなく、急激に全ての感覚が遠くなっていって意識もすぐに遠のいていく。

 意識が散る直前、必死な顔でこちらに手を伸ばしているママに心細さと恐怖に手を伸ばそうとしてぷつり、とわたしの意識は完全に闇に落ちてしまった――。

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