ママと冒険者と許可制と罠Ⅴ
「なんでこんなことに……!」
白くて綺麗な小花が咲き誇る花畑に、まるで地獄に垂れた蜘蛛の糸のような淡い光が天井から一筋降り注ぐ。
その光の反射からか、ぽわぽわと光る小花が宙を舞う一種幻想的な光景の只中にわたしはいた。
「くそ……」
横にきらきらぽわぽわ光るお花のせいで、更に耽美な感じに磨きが掛かってる究極美少女を伴って。二人きりで。
……いやなんでだ!? どうしてこうなったし……!
光が差している花畑の場所以外、一寸先は真っ暗闇な出口の見えない洞窟っぽい場所で、更には聞こえる不気味な唸り声の多さに思わず眩暈を起こして意識を飛ばしたくなった。
と、飛ばさないけどね! じゃないとたぶん美味しく食べられちゃうし!
「つぅ……」
「だ、大丈夫?」
わたしはこの状況において、唯一の希望にすぐさま縋ることにした。
たとえ見たところ結構重そうな怪我を負っていたとしても!
戦闘力チートが無いわたしよりは確実に強いに違いないだろうし!
美少女の目力的な威圧技みたいなの放って追っ払ってくれそうだし!?
「これが大丈夫に見えてんのか。目が腐ってんのかクソ。そもそも誰のせいだと」
「ごめんなさい。わたしのせいですごめんなさいだから助けて下さいごめんなさい後生ですからごめんなさいお願いしますぅ……!」
わたしはじわじわと現実としての恐怖を理解するにつれてあっさりと錯乱状態に陥ってしまい、とにかく助けてもらうためならとかなり雑な謝罪を挟みつつ、怪我人への配慮とかすっ飛んで縋った。
シャルル美少女に必死に頼み込みながら、あの時あんなこと言わなければこんなことには……と後悔と共にこんなことになった発端を泣きべそかきながらもわたしは思い返していた――。




