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プロローグ


 薄暗い室内に充満するムワッとした甘い香りと、退廃的なまでに気だるげにくつろぐ美女と傍に嬉々として侍る美しくも若いツバメたち。

 まさかそんな場所が未成年の子どもが過ごす建物内に存在するとは思えない。わたしは明らかに教育に悪そうなことをしでかしている元凶を睨んだ。


「マ~マァァーーーー!!」

「あらミアちゃん。可愛い顔が台無しになってるわ。女の子は笑顔が一番なのよ」

「その前に、これ! なにこれ……!?」

「なあに?」


 こてん、といっそ清々しいほどにわざとらしくもあざとく首を傾げても恐ろしいほどに違和感の無い美女は何を隠そうわたしのママだった。

 ……こんな教育に悪そうな美女がわたしのママだって信じたくない。


「ちょっと童貞くんたちを侍らせただけじゃない。そんなカッカッしなくてもいいでしょうに」

「ど、どどどどうていくん……!?」

「初心ねぇ」


 色々文句を言いたかったはずなのに、こんな状況でも母親の傍でにこにこと余裕の表情で侍る軽薄そうな少年たちと童貞というワードが結びつかなくて混乱する。

 えっ、ツッコんだほうがいいの? ていうか結構なこと言われてるけどにこにこでスルーしていいの? 実は言葉通じてない感じです?

 ――いや、いやいやいや!


 今はそんなことどうでもいいんだ!

 気になるけど! すっごく気になるけど……!


「――その前にここ! 未成年の学校なんですけど!?」

「細かいことはいいじゃない、異世界なんだし」

「よくなああああああああああああい!!!!」


 わたしの良く分からない羞恥と怒りによる叫びが異世界の校舎にこだました。

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