領地に水を
「よし、まずはこの領地の問題を解決していくか」
翌朝、俺は早速ベッドから起き上がって領地を見て回ろうとしていた。
「あの……な。お前ら……色々と恥ずかしいからやめてくれないか……」
右手にはルーシャ。
左手にはリーンがいる。
いや、もうそれは大変な構図だ。
めっちゃ密着してきてるし。色々と当たっちゃってるし。
もしかしてわざと? こうやって俺を貶めようとしてる?
いや、ルーシャは間違いなくそんなことはしないが。
「ご、ご奉仕です!」
「ご奉仕ご奉仕!」
とりあえず二人には説教をしておいた。
リーンに関しては、多分ご奉仕を違うなにかと勘違いしている。
ともあれ、外に出て問題を見つけることにした。
しかし、まず解決しなければいけない問題がすぐに分かった。
「土地だな」
荒れ果てていて、こんなのじゃろくに作物も育たないだろう。
近くに川もないし、水を運ぶにも苦労していることだ。
「アルン様……しかし、土地に関してはアルン様の力を持ってしても……」
リーンが不安げな表情で聞いてくる。
まあ、そりゃ当然の疑問だ。
「問題ない。なんたって、ここはかなり恵まれた土地だからな」
「え……? いや、さすがにそれは……」
「ま、見とけって」
そう言って、俺は地面に手をつける。
「なんだなんだ?」
「領主様がなにかやっておるぞ?」
地面に手を付けている様子が不思議だったのだろう。
知らないうちに多くの領民が集まっていた。
ともあれ、集中しないとな。
うーん、この辺りか?
「えい」
拳に力を込め、俺は力強く地面を殴る。
もちろん、この土地に眠っている資源を傷つけないように慎重にだ。
――ゴゴゴゴゴゴゴ!
轟音とともに、地面からなにかが噴き出してきた。
「み、水だ……!」
一人の領民が呆けた様子で言う。
そう、水だ。
この領地には、実のところ大きな地下水脈がある。
それを俺が今、掘り当てたって感じだ。
このまま放置していると辺りが水浸しになってしまうので、スキルを発動して井戸を錬成する。
んで、ちょっと土地の感じをよくするために一工夫。
「うわわわ! 地面から植物が!」
乾燥しきった土地から植物が芽吹いた。
そう、枯れ果てた土地に水を行き渡らせたのだ。
ここの水は栄養分も豊富だから、王都に負けないくらいの植物が育つはずだ。
「す、すごいです……!」
「すごい! ねねね、これどうやったの!?」
リーンとルーシャがはしゃいだ様子で辺りを見渡している。
「知らなかったかもしれないが、ここは恵まれた土地でな。ちょっと頑張ればこんなこともできるんだ」
「知らなかったです! 博識なんですね!」
「妾も知らなかった! しばらくこの土地にいたんだけどなぁ!」
「別に博識ってわけじゃない。ただ、知っていただけだ」
そりゃ前世でなにかあった時ように残しておいた土地だからな。
知らないわけがない。
「おい! 人参やじゃがいも、ずっと育たなかった野菜が一気に成長したぞ!」
「本当だわ! 水源もあるし、食べ物もある! これでまともに生きることができるわ!」
領民たちも領民たちで、キラキラとした瞳を畑に向けている。
よし、まずはこれで土地の問題は解決だな。
「アルン様……もしかして人間じゃない?」
「なんだ急に」
「だって……こんなにもスキルが使えて、土地のことも知り尽くしていて……」
「あー……まあ、たまたまだ」
「たまたま?」
リーンははてなマークを浮かべて唸っている。
ま、さすがにそうなるよな。
でも、前世が賢者だって伝えたところで困惑するだけだろうし。
というか、普通に「何いってんの?」ってなるはずだし。
「ともかく、アルン様はすごいと言うことですね!」
「すごいかどうかは……まあ人次第かな」
とりあえず、納得はしてくれたらしい。
さて、土地の次はなにかな。
なんて考えていると、突然領民たちが忙しなくなる。
いや、元から忙しないと言ったらおしまいなのだが明らかに様子がおかしい。
あれほど野菜を見て喜んでいたのに、慌てた様子で家屋に逃げ込んでいる。
「……なんだあいつら」
遠くの方から、なにやら数多くの集団がこちらに迫ってきているのが見える。
「と、盗賊団がやってきました……!」
「盗賊団?」
「はい。数少ない資材を、根こそぎ持っていく悪い奴らです! あ、アルン様……! 不味いです!」
ほう。盗賊団か。
この土地を狙うって点はいい目をしていると評価してやるが、多分俺とは考え方が違うだろう。
あいつらは多分、というか間違いなく弱者から物を取るのを快感としている。
「ならお仕置きしてやらないとな」
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