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三体の魔族

「死んでください!」

「殺すなりぃー」

「死ね死ね死ね!」


 俺は三体から発せられた魔法弾を一気に弾く。

 魔法弾とはスキルとはまた別の能力。


 昔の人間は使えたが、今は魔族しか使えないスキル以外の技だ。


「ルーシャ! お前は鬼人族を頼む!」

「任せてアルン!」


 俺の指示と同時に、ルーシャが鬼人族へと攻撃を開始する。

 業火を口から吐き、鬼人族を焼き払う。


 まあ、それくらいじゃ倒せないのは分かっている。

 しかし注意はルーシャに行った。


「さて、竜人族さんとダークエルフさんのお尻をペンペンしないとな」


「二人相手に勝てるんですか?」

「白旗上げた方がいいよぉ」


 かなり挑発をしてきているが、気にしたら負けだ。

 というか、俺が負けるはずがない。


「お前たちがどうかは知らないがな」


 そう、俺は。


「大賢者様をあまり舐めない方がいい」


 地面を思い切り蹴飛ばし、光の速度で一気に距離を詰める。

 両腕をぐっと引いて、二体の魔物に向かって拳を思い切り放った。


 破壊された建物に思い切り吹き飛ばされ、建材が衝撃で宙に舞う。


「ちょ、なんですか今の力……!?」

「聞いてた話と違うよぉ……」


 衣服がズタズタに破れた状態で二体の魔族がふらふらと立ち上がる。

 さすがはガウルの家来というだけ頑丈だな。


 ただの魔族なら一発で行けていたはずなんだが。


「でも……私たちは人類を滅ぼさなくちゃいけない」

「だから負けないよぉ」


 そう言って、二体は俺の方に手のひらを向ける。

 スキルが……来る。


「《ドラゴン・トーレント》」

「《デビル・ファンタジア》」


 魔法陣が展開し、相手の攻撃が放たれる。

 数多の光線がこちらに向かって飛んできた。


 相手は間違いなく勝ったと思っているのだろう。

 ちらりと見えた表情はにこやかに笑っていた。


 だが甘い。甘すぎる。

 他の相手ならそれくらいで十分だろう。


 今の時代の相手ならこれくらい余裕だ。

 簡単に街なんて破壊できるだろう。


「死んでください」

「しーね」


 俺は瞬時に詠唱を唱える。


「《リフレクション》」


 簡単で単純なスキル――だが、術者によって大きく性能が変わるスキル。

 簡単に言えば――反射だ。


 目の前に発生した半透明な壁が、相手のスキルを受け止める。

 そして、『反射』した。


「あ、あれ……?」

「なにこれぇ……?」


 反射した自分の魔法に撃ち抜かれ、体に穴が空いた魔族が呆然と立ち尽くしている。

 まさか自分の魔法が跳ね返ってくるとは思っていなかったのだろう。


「トドメだな」


 俺は近づき、超近距離でスキルを放とうとする。

 その刹那――


「退くぞ」


 どこからかガウルの声が響き、俺が放ったスキルは空を切った。


「逃げられたか……」


 ルーシャの方も見ると、俺と同じような感じらしい。

 鬼人族はすでにいなく、ルーシャがキョロキョロと辺りを見渡していた。


「ルーシャ、相手は退いたらしい。ひとまずルル伯爵の安否を確認するぞ」

「わ、分かった! でも大丈夫なの? 妾たちの領地が攻められたりとか……」


 当然の心配だった。

 だが問題はない。


「相手に《マッピング》をしておいた。相手の場所はずっと把握している」


 ガウルたちは現在、ルル伯爵領北東にいる。

 彼の慎重なところと自分は決して戦わない性格を考えると、魔族たちが完全に回復するまで動くことはないだろうし、バート領からはほぼ真反対の位置だ。


「ただ、急ぎでの確認には変わりないがな」


 転移スキルを発動し、ルーシャとともに移動する。

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